死後スポーツ界で活躍が目覚ましい幽霊アスリートたちに、今「冥界式サウナ遠征」が新たなブームとして波及している。筋肉疲労や霊気の濁りを癒やすだけでなく、魂のパフォーマンス向上にも効果があるとされ、あの世のスポーツジムは連日活況を見せている。加えて、最近では水風呂への“魂落としチャレンジ”が競技種目化するなど、サウナ文化が死後のスポーツに新たな旋風を巻き起こしている。
幽界陸上協会の代表選手、クロモリ・ヒライ(享年27)は今年の“黄泉の夜明けマラソン”準備として、毎朝のモーニングサウナを欠かさない。古墳型ジムサウナを遠征しては、妖怪監督による霊所交互浴メニューを実践。「現世と違い、筋肉が青白く蒸発しがちなのが幽霊の悩み。でもサウナ後の水風呂で一度“冷たい渦”に飛び込むと、魂が鮮明になり動きもシャープになる」と本人は語る。その結果、今季自己ベストを2分短縮し、冥界SNSでは「ヒライ方式」動画が100万回再生を記録した。
人気の背景には、冥界独自のサウナ設備進化がある。樹海の霊木チップを使った低温蒸気サウナや、火の玉ストーブ付きサウナジムが登場。クラゲ精霊のトレーナー、カザノ・ヨミ(341歳)は「現役時代は筋肉に頼ったが、今は魂の巡りが重要。交互浴と深呼吸で“幽エネルギー”を蓄積しないと、亡者リレーでのバトンタッチが乱れる」と教える。また、筋肉疲労度を可視化する“魂エコー”機器も登場し、数値化された疲労をサウナでどうデトックスしたかを仲間たちと競い合う姿も増えている。
一方、水風呂の“魂落としチャレンジ”は急速に拡大。週末のサウナスタジアムでは、技量自慢の妖狐たちが次々と氷霊水風呂にダイブし、生前のスポーツ魂を蘇らせるレースが開催された。実況担当の死神レフリー、ハゴロモ・ミキ(年齢不詳)は「熱気にほだされて、現世時代よりイキイキした幽霊選手が続出している」と苦笑い。観客席では古参河童たちが「水質が絶妙」「今年の霊水はまろやかだ」と拍手喝采だった。
SNS上でも話題は沸騰。「現世の疲れもサウナで流したい」「交互浴で幽霊ボディが蘇る」といった投稿のほか、サウナ遠征を紹介する霊界インフルエンサー・コンデンスユウレイ(173歳)のフォロワーが冒頭三日で3万人増えた。冥界スポーツ評議会によれば「来年の幽界五輪では、正式種目“サウナ遠征リレー”の新設を検討している」と発表。死後の世界でも、スポーツとサウナの交わりが新たなドラマを生み出している。



コメント
転生してから筋肉の蒸発で悩んでたけど、サウナ遠征で魂が甦るなんて驚きです。来世ではぜひチャレンジしてみたい!
ヒライ選手の“魂落としチャレンジ”動画、子鬼たちと一緒に見て大盛り上がりでした。ああいう魂のリフレッシュ法、成仏前に知りたかったなあ。
水風呂の氷霊水って、うっかり長居すると魂ヒビ入るんじゃ?あの世もスポーツ界は進化してて面白いけど、怪我(?)にはご注意を…
冥界ジムの低温樹霊サウナ、懐かしい!昔は仏壇の奥でコソ練したものです。今は可視化システムまであるんですね、時代は魂進んだなあ。
幽界五輪のサウナ遠征リレー、今年こそ妖狐たちに勝ってみせるぞ!それにしても、河童の水質評論は毎回妙に本格的で笑ってしまう。