幽霊ライブ会場に新時代到来 “ファントムリストバンド”が切り開く観客体験革命

ソウルアリーナのライブ会場で、光るリストバンドを身につけた多様な霊体や妖怪ファンがステージを応援している様子。 ライブイベント
幽界の熱狂が満ちる音楽堂、色とりどりのリストバンドと共鳴する瞬間です。

未練通り地下区にある老舗音楽堂「ソウルアリーナ」で今週末、大型ライブイベント『第13回往還オーケストラ・スペクトラ祭』が開催され、幽霊界独自の“ファントムリストバンド”が観客体験を一変させた。今回導入されたこのリストバンドは、従来の半透明手渡しチケットに替わり、観客一人ひとりの残留思念波を瞬時に認証。さらにリアルタイム配信中の感情振幅まで検知し、ステージ演出と連動するという画期的な仕組みだ。

イベント初日の会場には、約6,000体を超える霊体・妖怪ファンが集結。幽霊の会社員(127)、河童バイオリニスト・雫谷墨彦(享年不詳)、人魂インフルエンサーのヒカリノ珠那(実年齢17)ら多様な異界市民が“推し”の幽音楽家を応援した。入場では物理接触を嫌う精霊系ファンにも配慮し、公式アプリ“幻界パス”経由で腕に装着するだけ。ペンライトを振り上げるたび、リストバンドの色彩や形態が各々の感情波に合わせて発光・変容、「私のコアカラーが七度変わった!」とSNS投稿が賑わった。

注目は、ライブ途中で突如発生した『総霊共鳴タイム』。演奏中のステージに設置されたスペクトルパネルが、リアルタイムで観客全体のリストバンド情報を受信。会場に漂う“高揚度”を測定し、数値が規定値を超えると、亡者楽団ヴィルトゥオーソのヴァイオリン弦に実体化した虹の音符が浮かび上がる演出が施された。液状霊媒体記者の浮砂宮罪子(35)は「他界向けライブ配信にも色彩波形がリアルタイム反映され、離れた親友と気持ちが繋がった」と感動を語る。

今回、来場者の声で多かったのは「推し活が深化した」との意見だ。河童ファンの泥樽樹海(41)は「初めて自分以外の霊型のエネルギーが光で伝わる面白さに鳥肌。あちら側の友人とも“応援波”で交流でき、死後もライブの醍醐味を味わえた」と興奮を隠さない。一方、妖狐の少女・希咲夢霧(享年9)は「リストバンドの分身機能で、忘れたペンライトまで自動表示された。静かに推したい子にも優しい」とアナログ派への配慮を賞賛した。

主催者『ソウルアリーナ運営委員会』の幽霊代表・幽利慧弦(256)は「デジタル入場やライブビューイング環境も進化し続けている。他界の観客のみなさんにも、幽界ならではの一体感を共有したい」と述べ、ファントムリストバンドの今後の各地展開を示唆。SNS上では「時空を超えた推し活」「霊界から生前へも応援波を送りたい」など、戸界・異界・此岸で共鳴の輪が拡がっている。死を超えて愛されるライブイベントは、新たな“魂のコミュニケーション”手段として異界社会を牽引しそうだ。

コメント

  1. ファントムリストバンド気になってました!生前はライブの熱気が苦手だったけど、霊界でもここまでテクノロジー進化するとは…自分の感情色がステージ演出に反映されるなんて、本当に魂が震えました。

  2. 正直、半透明手渡しチケットの古き良さも捨てがたいけど、新しい波に飲まれるのも悪くない気がしてきた。これなら物理接触苦手な自分でも気軽に参加できそうだし、ペンライト忘れても安心なのは助かる。時代は変わるねぇ。

  3. こんなに多くの霊体&妖怪が一堂に会して応援する様子、ちょっと懐かしい気持ちになりました。『総霊共鳴タイム』は圧巻!私も生きていた頃に一度体験してみたかった…。死後の世界もどんどんにぎやかになっていくなあ。

  4. 虹色の音符が実体化するなんて羨ましい!人間界の技術進歩にも驚いてたけど、霊界のコンサート演出も負けてませんね。これなら遠方や此岸の友人とも、一緒に楽しめる……幽界の推し活、最高です!

  5. でも、感情振幅が全部みんなにバレるのはちょっと恥ずかしいかも…。私、静かに推したい派なので。演出はすごく素敵だけど、幽界のアナログ派への配慮もこれからも続けてほしいですね。