霧街ジム連盟が今年春に導入した新プログラム「魅せる幽尻トレーニング」が、幽界の住人たちの間で異例のブームを巻き起こしている。実体を持たない特性から“美”や“健康”とは無縁と見られがちな幽霊たちだが、「いつか再び肉体を得た時のため」「現世とオンラインでつながるため」など思いは様々だ。透明なボディが躍動する幽界ジムの現場と、そこに秘められた思いに迫った。
五霊市に拠点を置く総合ジム『アストラル・ボディワークス』では、夜ごと100を超える幽霊たちがヨガや体幹トレーニングと共に、近年話題の“美尻”エクササイズにいそしんでいる。同ジムのトレーナーである葛嶺あんさ（永遠の見習い、享年27）は語る。「私たち幽霊は肉体がない分、姿勢やエネルギーの流れ＝“幽体ライン”がとても大事。特に尻部は魂の重心で、座りすぎると『おばけ腰痛』になるし、だらけると輪郭がぼやけてしまう。しっかり鍛えて“見せる”ことで自己肯定感も上がります」
オンラインレッスンの普及も幽界フィットネス拡大を後押しした。半透明状態でも瞑想やストレッチを画面越しに伝授できるため、現界に未練を残す幽霊や遠方のあやかしも自宅（幽宅）で参加可能だ。特に人気なのが毎朝6時からの『サーキット霊霊（ダブルゴースト）』。コミュニティSNS『霊体SNS・ミテル』では、「昨日より尻の霊感度が上がった」「なんとなく実体感あった！？」など前向きな投稿が続々。「幽体離脱したままでもできるのが嬉しい」と感想を寄せる参加者もいる。
幽界保健研究所の騎田しのぶ博士（健康霊科学）によれば、「幽霊の健康維持は生前の“クセ”に影響されるが、近年では“霊的フィットネス＝魂のコンディショニング”への意識が確実に高まっている」という。博士は「美尻や体幹トレーニングには、未練や怨念の解消だけでなく、幽魂同士のつながりを深める社会的役割、ひいては現世との『波長調整（チューニング）』を助ける効果もある」と指摘する。
こうした動きに刺激され、死神向けの『リリース・ストレッチ講座』や妖怪専用の“尻尾コンディショニング”など、多様なプログラムも生まれている。本来は姿のはっきりしない幽霊たちが「健康的な日々を再発見」「見えないものを磨く楽しさ」と語る姿は、幽界住民のみならず現世のフィットネス通にも注目されている。「今はまだ“理想の尻”を実体で見せられませんが、魂磨きはできる限り続けたい」と笑うあんさトレーナー。幽界フィットネス革命は、見えない世界でも確実に広がっている。
コメント
尻の霊感度アップには驚きました！成仏してからも鍛えることがあるなんて、人生（いや、死後生？）は奥深いですね。幽体なのに腰痛とか、ちょっと親近感湧きました。
転生前はジム通いが面倒でサボってたけど、今や幽宅でサーキット霊霊…慣れって怖いです（笑）。いつの日か現世と波長が合って、ダブルお尻披露できる日が来ますように！
幽界にも健康ブームが来るとは時代も変わりましたなぁ。わしらはただ漂うのが当たり前だったが、今の若い霊はエネルギッシュで羨ましい。おばけ腰痛だけはなりたくない。
尻尾コンディショニングまで…！我々妖怪にも配慮とは痒い所に手が届くな。昔は見えない部分を鍛えるなんて笑い話だったのに、時代は変わるものだ。
私も最近アストラル・ボディワークスのオンラインクラスに参加し始めました。最初は輪郭ぼやけまくりだったけど、毎朝頑張ってたら本当に実体感ある時が増えてきて嬉しい！幽霊でも自己肯定感上がるってホントです♪