死後界・東ノ州墓霊区東棟の『ぼんやり保育塾』前には、夜半にもかかわらず透明な親たちの行列ができている。かすかなため息が地を這い、保育士の呼び声が小さな魂たちを誘導する。あの世でも少子高齢化と“ワンオペ育児”の波は止まらず、支援体制のひずみが叫ばれている。
保育塾に並ぶのは主に仕事帰りの幽霊保護者たちだ。元OLのモガワ暮葉(くれは)さん(享年34)は、「昼夜逆転勤務で子どもの世話が難しく、一時保育を頼れる場がここしかない」と語る。魂の子を持つ親たちは“幽界企業”で働きながら家事・育児を担うが、祖霊の世代も高齢化で頼りにくく、煩雑な魂管理は実子持ち世帯の悩みの種だ。ワンオペ育児支援を求める声が、SNS「ウラノート」でも救いを求めて噴出している。
保育の需要急増の一因は“魂再生児童”の増加。成仏前に生まれ変わる子の教育的配慮が社会的責任として重視されているため、各地で一時保育施設不足が慢性化。特に育児休霊(いくきゅう)取得中の幽会パパ・ママも、意外な孤独と制度不備に直面。「子どもと一緒にいるとエネルギー消耗で形が薄くなりがち。支援ではなく“再構築手当”が欲しい」と語る憑依システム関係者も多い。
一方、“子育てシェア”の試みも始まった。市民団体『共鳴ときゆび会』では、保護者同士が夜霧の散歩や供物配達を交代するサービスや、禅定保母による“魂輝き相談室”を設置。「子守の交換で親魂の消耗を防げる」と参加者には好評だが、「当日キャンセルするとお札ペナルティが重い」といった不満もあがっている。死後界役所も対策に乗り出し、2026年度からは“児童魂手当”の増額や、保育士の新たな招魂採用試験の実施を検討している。
専門家である墓下大学・幽育学部のウキヤマ径志准教授(373)は取材に「死後界も『小1の壁』のような育児断絶期があり、個別支援と地域参加が両輪。行政はワンオペ解消の具体策を構築すべき」と指摘。SNSには、《空中庭園にも保育園があれば》《育休霊中の家事代行もほしい》といった当事者の切実な声も並ぶ。一瞬の油断が“魂抜け”事故につながる死後界、親たちの戦いはまだまだ続きそうだ。



コメント
まさかあの世でも保活に悩むとは…。前世よりも魂の消耗が早い気がして共感しかありません。魂抜け事故、他人事じゃないです。
最近の魂再生児童の多さ、ほんとに昔と違うなあ。ワンオペ育児、お札何枚貼ってもしんどいから、再構築手当はぜひ実現して欲しいです。
空中庭園に保育園あったらいいのに、その通り。役所も重い腰上げて早く招魂採用枠増やしてくれないと、世代交代が回らないぞ。
シェア子守サービス、便利だけどペナルティのお札厳しすぎません?死後ぐらいゆるくして欲しい。親魂の疲れは現世もあの世も変わらない…
育児休霊なのに家事も魂管理もきついって、懐かしい気持ちになります。幽界も今や共鳴社会、みんなで乗り越えたいですね。