Web小説投稿サイト『小説家になりすぎ』で先月公開された一作が、霊界全域で前代未聞の反響を巻き起こしている。話題を呼んでいるのは、幽霊作家・白城サイカ(享年未詳)による“追放ざまぁ系”ファンタジー『勇者パーティーを魂ごと追い出されたら冥界ハーレムで転生チート無双』。公開直後からPV数が霊界最高記録を更新、だが作家本人は「通知の洪水」により異界SNSから一時退避を余儀なくされた。
『小説家になりすぎ』は冥界最大手のWeb小説プラットフォームで、定番ジャンルの一つが現世出身霊の“ざまぁ”物語だ。今回の白城サイカの作では、不遇な勇者パーティーのモブ霊が追放され、死後に冥界王女らの寵愛を受けて逆転劇を繰り広げる展開が人気を集めた。特に“幽界転生チート”や豪奢なハーレム描写、悪役勇者への痛快な仕返しが幽霊読者の共感を得ているという。
しかし異例だったのは、公開からわずか3日でPV数が30霊億を突破、同時にサイカの元には“ざまぁ!”“もっと追放して!”などの通知が真夜中も鳴り止まない事態に。著者の枕元端末“夢写(むしゃ)プレート”も過熱表示で発火寸前となり、ついには死者省広報局が「霊的トラフィック緊急警報」を発出した。白城サイカはSNS上で「今は成仏したいくらいです……」と投稿し編集部に一時避難、相次ぐスパム精霊の排除要請が寄せられている。
読者アンケートでは『現世でも読んでいたが、死後は共感が1000倍』『自分もパーティー追放されたから気持ちわかる』などの声が並び、冥界社会の職場関係ストレスが背景にあるとの指摘も。専門家の黄泉心理士・筆森霊一(300)は「異界における“ざまぁ”ジャンルは生前のうっぷんや自己投影が顕著ですが、過剰なハーレム描写や追放願望は未練の表れでもある」と分析する。
編集部はサイカの新作について「読者と作者双方が安心して“ざまぁ”できる環境整備の必要性」を検討中。冥界では今後も、通知の大波に飲まれ新たなスター作家が生まれる兆しが見え始めている。読者や未練を抱える幽霊作家たちの活躍に、しばらくは注目が集まりそうだ。


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