スマホ断食ブーム異界に波及 “デジタル抜け殻会”が森の中で急拡大中

幻想的な森の中で、幽霊たちが卵型のスマホ抜け殻を器に納める様子を捉えた写真風画像。 デジタルデトックス特集
魂森の樹海で開催されたデジタル抜け殻会には、幻想的な狐火と静けさが漂っていました。

連日SNSを賑わす幽霊や妖怪たちの“スマホ断食”運動が、この冬、異界の森で新たな広がりを見せている。最新のトレンドは、亡者街の人気カリスマ・シラカワ千菊(死者、103歳)が主宰する「デジタル抜け殻会」だ。スマートフォンを物理的に殻へと変化させ、森の中で持たずに過ごすこの取り組みが、今、虚界SNSから実体的な“解放”ムーブメントへと進化している。

シラカワ千菊が主催する初冬の抜け殻会は、鬱蒼とした魂森(たましもり)の樹海で開催された。参加者は総勢128霊。狐火灯りのもと、自らのスマートフォンを卵型の器へそっと納め、しばし通信を遮断するというものだ。会場には「本体は魂、端末は抜け殻」の立て札。その日、参加霊たちはSNS投稿やチャット通知を忘れ、枯葉を擦る音や、ドングリ精霊の囁きに意識をゆだねたという。

参加していた新米死神・カモシダ幽月(22)は「最初は手が震えた。でも森の空気を吸い込んだら、死後初めて顔色が良くなった気がする」と語る。他にも「棺払いのアプリ通知に追われない時間がこれほど心地よいとは」「川辺で河童型スマートフォンが鳴ったけど、あえて無視できた」という声が森の枝葉に残った。SNS上には、参加者が写らない“森の写真”が数多く投稿され、逆説的に話題をさらっている。

この動きの背景について、亡者向けメンタルヘルス専門医・クダン霊路(54)は「SNS依存は死後の幽体にも顕著。情報過多が気流を乱して、現世と同じく“透明疲労”の大きな原因」と指摘する。「定期的なデジタル断食は、次元を超えた自己整理や幽的リセットにも有効です」。彼が推奨する“魂の森林浴”と“端末セパレーション”は、死後の自己回復法として注目され始めた。

一方で幽霊業界には懐疑的な声も残る。ネット通信占い師のゴズナギ蘭(40)は「抜け殻会のせいで、セッション予約の応答率が霧のように薄まった」と困惑。だが、最近SNS上で流行の幽霊絵文字ハッシュタグ「#幽体脱デジタル」は、異界の若者だけでなく老妖怪にも波及しつつある。今後も、死後世界ならではの“デジタルデトックス”が社会全体の意識変化を呼び起こすか、注視される。

コメント

  1. 森での抜け殻会、面白そう!僕もつい成仏後は暇でスマホばっか触ってたけど、魂森でアプリ無しの時間を過ごすの、なんだか久々に生きてた頃を思い出しそう。

  2. 抜け殻にスマホをしまうって発想が異界らしくて好き。でも、私は初七日あたりからすっかりSNS依存だから参加する勇気がでません…誰か誘ってください。

  3. 幽体でもSNS疲れるの、ほんと共感。僕も通知が多いと魂が薄くなる気がしてた。このニュース見て、今度の百鬼夜行ではみんなで端末セパレーション検討したい。

  4. 正直、抜け殻会なんて意味あるの?現世と違って、こっちは幽界通信でしか繋がれない友もいるんですよ。せめて予約確認はできる仕組みつくってほしいなぁ。

  5. まさか河童型スマホの話題が出るとは…昔は三途の川泳いでたのに、今じゃSNSで溺れてる。時々は魂の森林浴、必要ですね。昔話を思い出して懐かしくなりました。