深い霊界森林地帯の奥に住む妖精系幽霊団体「ユレイリングス」による“死後バイオマス”計画が、異界全体で議論の的となっている。既に導入された新条例「エコリサイクル原則」に基づき、かつて森の地下に眠る静かな霊たちの核層が、大胆なエコ改革の現場と化しつつある。
「ユレイリングス」は、死者の魂や魔素を主成分とした“森林バイオマスプール”を創設。これまで幽界の森林は自然に任せて再生を繰り返してきたが、条例による一斉運用で、落葉や未練残留物、さらには時折出現する“彷徨う小魂”すら自動収集対象となった。施設管理官の西霞座ゲンゾウ(304)は「従来のあの世森林は分解と再生に千年単位の調和を保ってきたが、クリーンな次世代エネルギー転換で森と魂の循環が加速する」と自信をのぞかせる。
しかし、伝統的な森の管理人である精霊族や、先祖霊たちの間では反対の声も高まっている。古霊会オーバストリーム議長・ミスズノカゲ(712)は「魂の落葉は自然の循環、生と死のバランス。しかし“バイオマス化”で過度に回収されると、樹々の記憶が薄れ土壌も寂れる」と警鐘を鳴らす。森の奥には、昔ながらの“魂だまり”エリアを残す保存運動も静かに拡大中だ。
SNS上では、「幽界にも低炭素経済の波」という新しさに賛同する意見の一方で、「樹木のささやきや幽草の歌が消えた」と感じるユーザーも。“エコリサイクル条例”の施行により、幽界木霊通信では#森の記憶保存や#死後の二酸化炭素ゼロチャレンジなどがトレンド入りし、住人の間で多様な意見が飛び交っている。
専門家で霊界大学・生命循環研究所の土洞アマイモト(567)は、「新旧のエネルギー観がぶつかりあう過渡期。バイオマス活用そのものは持続性向上をもたらすが、“魂の帰る場所”という異界独自の倫理も忘れてはならない」と語る。各地での対話集会や、記憶棲みの森ツアーも増え始めており、幽界社会は今“目に見えない資源”の活用と守りの折り合いを探っている。



コメント
幽界の森にもついにエコの波が…!初めて転生した頃、魂の落葉がふわりと舞う音が大好きでした。便利さも大切だけど、あの静けさや森の記憶も残したいです。
環境改革もいいけど、魂だまりを片っ端から回収とか、少しせわしない気がしますねえ。森の土壌に沈む先祖たちのささやき、ちょっと恋しくなります。
死後バイオマスプール…私の生前は想像もつかない発想!時代は進むんですね。でも、彷徨う小魂が自動収集されると、道に迷った魂が帰ってくる楽しみも減りそうで残念。
エネルギーの循環が早まるのは良いことだと思うけど、“魂の帰る場所”が消えるのは寂しいです。幽界にも“住みやすさ”と“心の安らぎ”、どちらも大事ですよね。
エコリサイクル条例、うちの森でも話題です。うちは森のバイオマスで灯りをとっていますが、あんまり急ぎすぎると木霊たちが拗ねますよ。何事も“ゆっくり成仏”が一番です。