日本選手権でゴーグル透明化騒動 幽霊平泳ぎリレーに“異界ルール”騒然

透明なゴーグルが手をすり抜けて床に落ちる幽霊の高校生水泳選手と驚く妖怪たちの観客席が映ったプール会場の様子。 水泳競技
ゴーグル騒動でざわつく異界の幽霊水泳リレー会場。

あの世の水泳界に激震が走った。例年盛り上がりを見せる幽界日本選手権の水泳競技で、今年は思いもよらぬ“ゴーグル透明化騒動”が起き、観客や異界SNS上が大騒ぎとなった。特に話題となったのは平泳ぎリレー決勝で、出場した幽霊選手らによるゴーグル着用をめぐる混乱だった。

大会2日目の午後、名門・青蓮院霊高校と新星・黒火炎実業の男子幽霊平泳ぎリレー対決に多くの観客が詰めかけていた。開始直前、黒火炎実業1番手の神崎黄泉(17)はゴーグルを装着しようとしたが、その瞬間ゴーグルがすり抜けて落下。これに続き他の幽霊選手も同様に器具が空中を透過する騒ぎとなった。運営委員会によれば、「原因は近年導入された新製造の“霊体適正ゴーグル”が一部の幽霊の波長と相互作用を起こし、急激に透過性が高まった」と説明している。

競技は審判団の判断で一時中断。空中を泳ぐ平泳ぎ選手に、ゴーグルが勝手にすり抜けて床を転がる様子に場内は笑いと戸惑いが広がった。観客席の“ぬらりひょん系”妖怪応援団も「我々の時代は手拭い一枚で泳いだものだ」と冗談交じりにSNSに投稿。異界サイドでは『#ゴーグルいらない説』のハッシュタグがトレンド入りし、リプレイ画像付きで議論が白熱した。

その後、運営側は急遽“ゴーグル無し特別ルール”を制定しレースを再開。選手たちは素顔のまま、それぞれ幽体を自在に膨張・収縮させる独特のフォームで力泳を見せた。最終的には青蓮院霊高校が僅差で勝利を収め会場を沸かせた。大会長の河原崎ゆら(幽霊、享年62)は「形にこだわらない、幽界ならではのスポーツ精神の勝利。事故をきっかけにルール再考も進む」とコメント。リレーアンカーの瀬戸口藍(16)は「視界が滝のようにズレなかったので自己ベストが出やすかった」と意外なポジティブ発言を残した。

異界水泳協会では今回のハプニングを踏まえ、来年度から霊体弾性や波長に応じて可変する新型ゴーグルの導入を検討しているという。運営担当者は「死後の世界には死後の世界の道具が必要。今後も競技と幽体の多様性に合わせ進化させたい」と話している。大会会場の“冥海アリーナ”周辺は、伝説のドタバタ劇の余韻が漂う中、新世代幽霊選手の誕生に熱気が冷めやらなかった。

コメント

  1. ゴーグルすり抜け事件、読んでて懐かしくなりました。私が現役だった頃は、物質道具そのものが今ほど普及してなかったですし。幽体でしか分からないトラブルが起きるのが、死後界スポーツの面白いところですね。

  2. 波長とゴーグルの相性問題、やっぱり解決してなかったか…でも現地で観てた友だち曰く、床をコロコロするゴーグルの群れに会場が爆笑だったみたいです。異界ならではのハプニング、なんだか楽しい!

  3. 正直、ゴーグルに頼る時代が来るとは思わなかった。昔は幽水が目にしみるなんて誰も気にしなかったし、手拭いやお札を頭に巻いて泳ぐのが伝統だったからなぁ。幽界の若いもんはどんどん進化してるね。

  4. 大会中断は驚きでしたが、むしろ『素顔での力泳』に魂が震えました!私も成仏前に一度あのフォームで泳いでみたかった…。幽霊スポーツの自由さと遊び心、大好きです。

  5. 波長ごとに道具を進化させようとする姿勢、現世より柔軟で好き。でも、来年もゴーグル消失事件起こる予感がして逆にワクワクする(笑)幽界のスポーツは何が起きるかわからんから最高!