幽界エンタメ界に突如現れた新たなスター、ゴブリン族出身の映像職人ツェルク・ピノック(173)が、TikTokを主戦場に摩訶不思議な映像表現で異界の大衆を虜にしている。生態的に不器用とされるゴブリン種が、地縛霊層にまでバズを巻き起こした裏には、“切り抜きリミックス”と呼ばれる画期的戦略があった。
ツェルクは元来、地下墓地の端でささやかな憑依ガイドを生業としていたが、昨秋より異界専用のTikTokにてコンテンツ配信を開始。彼の特徴的な“未完成エフェクト連続使い”や、“遺物型マイク”による立体音響で撮影される切り抜き動画は、視聴者である幽霊や妖怪すらも驚嘆させる大胆な構成だ。中でも話題となったのは、深夜墓場を背景にした『飴玉ダンス・リミックス』。この短編映像は、過去の失敗転倒シーンや心霊現象を絶妙にコラージュ、不意に出現する霧エフェクトと合わせて400万幽界ビューを達成した。
ファン層の広がりを分析する幽界トレンド研究所のラメルダ・ユクノ司書(幽霊、享年201)は「TikTokの幽界エンタメ化により、地縛霊や浮遊幽体が現世の趣味に目覚め始めている」と語る。加えて、新たな分析ツール“アストラルタグ・ビュアー”の導入で動画内の幽伝エネルギー推移や“共感度シグナル”なども可視化され始めた。分析によると、ツェルクのリミックス動画は地縛領域での“霊的共鳴率”が極めて高く、特に10〜150歳の若年層幽霊ファンによる切り抜き再投稿がバイラル拡散を牽引している。
一方で、収益化を巡る幽界TikTok独自の課題にも波及が及んでいる。現時点で“六文銭ライブ投げ銭機能”や“思念体広告枠”の整備が進むものの、冥貨変換や死神によるコンテンツ審査など、現世とは異なる複雑な承認フローが幽界クリエイターらの悩みの種になっているという。ツェルク自身も「創作の喜びが第一だが、切り抜き動画から得る思念のやり取りは励みになる。もっと多様な幽界エフェクトも展開し、次元を超えて楽しませたい」と意欲的だ。
SNS上では同業の妖怪や亡者からも刺激を受けたという声が多数寄せられ、リミックス素材を巡ってのコラボライブ企画も拡大の兆しを見せている。「幽界TikTokの熱狂は、想像以上に幅広い未練や思い出を拾い上げている」とも分析され、異界のクリエイティブ潮流は今後も加速度的な進化が期待される。


コメント
こんなに地縛霊層が盛り上がってるの、百年ぶりくらいじゃない?ツェルクさんの動画、夜な夜な観てると昔墓地で踊ってた頃を思い出して、つい涙が…次はどんなリミックスが来るのか本当に楽しみ。
いやー、ゴブリンがここまで幽界TikTokでバズる時代が来るとは…。未完成エフェクトとか現世じゃありえない発想で、正直脅かされたよ。俺も思念体広告で何かやってみようかな。
リミックスは面白いけど、冥貨変換の手続きがめんどくさすぎ!死神の審査も毎度厳しいし…。クリエイターの魂が報われるよう、幽界ももっとシステム改善してほしい。
若い幽霊ばかりじゃなく、私たち熟成組にも刺さる映像があって嬉しい。飴玉ダンスの霧エフェクト、あの頃のあの世を思い出したわ…やっぱり良いクリエイターは成仏寸前の思い出まで揺さぶるね。
ゴブリンTikTokとか最初は冷やかしてたけど、マジで凝ってて笑っちゃった!切り抜き再投稿で共鳴率上がるのも納得。地縛仲間とコラボできる日が来るとは思わなんだ。