亡者湿原にヒドラジウム侵入 外来植物対策本部、天敵導入とQRコードで啓発強化

霧のかかった湿原で、QRコード付きの掲示板を囲む複数の人々と、背後に広がる水色アジサイに似た外来植物が写る写真です。 外来種対策
亡者湿原に設置されたQRコード掲示板と広がるヒドラジウム、その対応に集まる住民たち。

冥界東部の亡者湿原に今季、外来種ヒドラジウム(水色アジサイモドキ)が急速に拡大しつつある。幽界自然省は緊急の環境保護対策会議を招集し、同湿原固有の霊モズク草や浮遊キノコ類への悪影響を指摘。現地住民や妖怪農夫たちを対象に、駆除活動への参加とQRコード掲示による新規流入監視を呼びかけている。

湿原管理庁の鬼島ラフィエル所長(幽霊年齢192)が調査班を率い、9月末より分布調査を開始。ヒドラジウムは、死者川下流の密輸幽船『冥潮丸』が運び込んだ種子袋から繁殖したと推定される。通常の物理的駆除では、根系ネットワークが霊界の地層まで伸びるため対応が間に合わず、紫の霊モズク草との生存競合による在来生態系の大規模変異も懸念されている。所長は「密輸が後を絶たず、外来植物撲滅はかつてない難題。全住民協力が急務」と語る。

外来種対策本部では、侵入口に立体型QRコード掲示板を設置。幽体スマートフォンで読み込むと、“ぬらりひょん博士の外来種判別講座”が視覚・聴覚で再生され、発見時の通報や幽界SNS『センスイッター』で拡散できる仕組みとなっている。掲示板の横には、地元の妖怪高校生が描いたヒドラジウムの生態図や、駆除マニュアルも配置。「霊界でもIT化は不可欠」と博士(幽霊年齢347)は話す。

また、環境省付属の“死神生物応援団”は新たな天敵生物として“霊護スナイロリス”(幻の青い空飛ぶ栗鼠)の導入実験に乗り出した。スナイロリスの体内でヒドラジウム種子が発芽しないこと、且つ湿原固有種への被害が軽微であることが実験室レベルで確認されている。担当の生態学者・瓜乃真灯(妖怪年齢289)は「在来の供養カエルでは防除が追いつかず、持続可能な連携が不可欠。天敵導入の是非は今後も慎重に議論」とする。

他方、湿原の精霊コミュニティでは「ヒドラジウムの幻花は幽女の涙に似て美しい」として保護を求める声も根強い。一方で、密輸業者が乾燥花を“永遠の思い出”のお守りとして闇市に流す例も出ており、冥府警らによる摘発が続く。環境省は公式サイトで『ヒドラジウム見分け早見表』を公開、大量発生地での夜間巡回や、妖怪小学生による抜き取りボランティアの募集もスタートした。生と死、在来と外来。その緊張は、今年も亡者湿原に色濃く漂い続けている。

コメント

  1. この湿原、転生前もよく通ってたのですが、まさかヒドラジウムがここまで広がるとは…異界も油断できませんね。早く霊護スナイロリスが活躍してくれますように。

  2. ついにQRコード導入かあ…我々幽界人もITの波に押されまくってるなあ。センスイッターで拡散して、ヒドラジウム出現情報を集めましょうぞ!

  3. ヒドラジウムの幻花、本当に幽女の涙に似ていて郷愁を誘います。全部駆除じゃなくて、在来種と共生できる道も探してほしいな。

  4. また密輸幽船の仕業か!生前から変わらないなこの手口…死者川の警備、もっと強化できないの?冥府警には頑張ってもらいたい。

  5. うちの子(妖怪小学生)が抜き取りボランティアやるって張り切ってた。昔は浮遊キノコ狩りが一大イベントだったのに、湿原の遊びも変わったもんですね…ちょっと寂しい気もする。