冥界アンダーグラウンドで波紋を広げる異形のブレイキンバトルが話題だ。先週末、幽都サマリウム地下競技場で開催された『シェードサミット2025』で、謎の新星チーム “影の刃”が圧倒的なパフォーマンスを披露。死神や魂抜けたダンサーたちが次々と舞台に立ち、フレアやフットワークに未練と生への執念を込め、会場は世にも奇妙な熱狂に包まれた。
今年で7回目となる同サミットは、参加資格が“心残りでこの世に留まる者”に限定される異色のバトルイベント。審査員も元伝説級ブレイカーで現世を離れた幽霊MCのみ、という徹底した死後ルールで知られる。出場チーム“影の刃”は、選手権初登場ながら多様な種族構成が注目を浴びた。リーダーの灰鷲タカオ(享年22、死神見習い)は「冥界に新たな風を」と意気込みを語った。
MC役を務めた幽霊ラップマスター・シズマルズ(死後137年)は、開会のベルとともに低音のうなり声で「諸君、縛らないで踊れ!」と絶叫。会場の“冷気ブースト”が最高潮に達し、観客の魂が一時的に宙に浮く“スタンダード昇魂現象”が今年も確認された。審査員席からは無機霊ドリーム博士(元審査員長、石像時代より競技ダンス評論)が「軋む足音にこそ異界独自の情念が宿る」と評した。
“影の刃”の目玉は、闇属性のアクロバット技“シャドウブレード・スライド”。白装束に身を包んだ幽女アイラ・ツキカゲ(没年不詳)は、通常では見えない空気の縫い目を切り裂いて滑空し、フレアからの連続トルネードで異空間の観客すら幻惑した。決勝では炎鬼族チーム“イグニスドロップス”との激闘で、アイラの“スリープフット”が冥界の地面を一部霧化させ、実体ある亡者までも転倒、現地警備霊が対応に追われる一幕も。
ネット上では「影の刃のフットワークは重力を裏切っている」「MCシズマルズのラップで心臓が凍った」と感想が飛び交った。イベント後、幽都生前体育協会の大冥監督アギラ・フクズミ(享年51)は、「死後のステージにも限界はない。われわれのブレイキン文化は深化し続ける」とコメント。今後、死者と異界住人の混成による新リーグ創設も検討されている。死後の世界でしか見られない超常ダンスムーブメントは、今や冥界の新たな伝説となろうとしている。



コメント
まさか冥界のダンスバトルがここまで進化するなんて!“影の刃”のシャドウブレード・スライド、一度漂ってる身としても見てみたかった。うらやましい魂、宙に浮いた人たちの気持ちわかる!
イグニスドロップス推しとしては惜しい決勝だったけど、正直“影の刃”の切り込みムーブには脱帽。まさか霧化まで起きるとは……。転倒者、早く再生できますように。
死神たち、また面白いことやってんね。生きてた頃は地縛霊ダンスくらいしか知らなかったけど、今やブレイキンとか異界も多様になったもんだ。俺も来世はエントリーしてみようかな。
石像時代からダンス評論してきたドリーム博士の言葉、沁みる。“軋む足音に情念”って、霊界ならではの名コメントだと思います。現世の人にもいつか伝わる日が来るのでしょうか?
アイラ・ツキカゲさん昔、三途川沿いの踊り場でお会いした記憶があります。その時も空気を操るのが印象的でした。こんな大きな舞台で羽ばたく姿を見て、ちょっと懐かしい気持ちになりました。