亡者たちの望遠鏡カフェ、幽霊天文学協会主催の「流星飲み会」に500体集合

星見ヶ丘の草原に集まった幽霊や妖怪たちが、望遠鏡を囲みながら夜空を眺めている様子の写真。 星空と天体
幽霊天文学協会主催の「流星飲み会」で賑わう幻視望遠鏡カフェの一夜。

死後の世界・常夜町の西端、夜空が永遠に青白く灯る星見ヶ丘で、幽霊天文学協会が主催する年に一度の「流星飲み会」が黒衣の参加者たちで賑わった。今期最大級と噂される彗星クイリナス流星群の観測に合わせて設けられた新名所「幻視望遠鏡カフェ」には、わずか一晩で500体を超える亡者、妖怪、精霊が集結し、冷たいシフォン霊ケーキ片手に“星降る夜”を堪能した。

今年の目玉は、現世の天の川よりひときわ明るい“冥府銀河帯”が南空を横切る光景と、異界衛星マドヌイの周期的なフレア現象。カフェのセンターには、光学葬儀屋で修復された百年前の大型屈折望遠鏡が据えられ、会員たちは順番に魔力のこもった接眼レンズから、その奥深い輝きへ視線を送った。案内役の幽霊天文学者・サザナミ ニル(享年78)は「生前も死後も星には終わりがない。特に今夜は、魂が透き通るほどの星雲美が広がっている」と満足げに語った。

一方、恒例企画の「冥界流星コメント大会」では、霊体中学生から狸妖怪老紳士まで多彩な面々が、見えた流れ星の数と願いごとを競い合った。会場で撮影された“流星群セルフィー”は、死神SNS「クラウド墓標」で瞬く間に1,000回拡散。中には「あの世で初デートをした空が今夜より綺麗だったことは無い」(精霊OL、320歳)といった甘酸っぱい投稿や、「これは超新星爆発前の輝きか⁉ 天文学好きの魂震わす!」(亡者医師、48没)など、専門家顔負けの声も次々と上がった。

また今回は、怪異バリスタのヨモリ ハンペン(39、死後職歴12年)考案による「天の川ラテ」や「衛星フロート」など限定ドリンクが並び、参加者は星の名前を冠したメニューでひときわ和やかな夜を過ごした。星座の妖精ミルクが氷化して浮かぶ“ペルセウス・モカ”は、幽霊たちの間で大人気となり、5分で完売となった。

企画主催の幽霊天文学協会は、「星を見ることは、永遠の命のなかの小さな旅になる。来年は死後子ども向けの天体工作ワークショップも検討している」と意気込みを語る。夜明けが決して訪れないこの町で、魂たちは今後も変わらぬ憧れを空に投げ続けるだろう。

コメント

  1. ああ、星見ヶ丘の流星飲み会!生きてた頃も夜空好きだったけど、冥府銀河帯はやっぱり別格ね。魂ごと透けそうな美しさ…来年はペルセウス・モカもっとたくさん用意してほしいなあ~。

  2. 500体も集まるとは、幽界は相変わらず盛況ですね。現世とちがって夜が終わらぬ分、ゆったり星を眺めるのもいい。天の川ラテも試してみたい…。

  3. 流星セルフィーがクラウド墓標でバズりまくってて笑いました。死神SNSの時代来てますね。僕も昔、初成仏デートで流れ星数えた記憶思い出しました。懐かしい。

  4. 正直、百年前の望遠鏡がまだ使えるとは思わなかった。光学葬儀屋に脱帽。現世の星もいいけど、冥府の星はどこか哀愁があって、永遠を感じさせられます。

  5. 狸妖怪の私が流星飲み会で願いごと競う日が来るとは…時代も霊界も変わったもんだ。あの世の子ども向けワークショップ、ぜひ孫たちを連れて行きたいですぞ。