死後の世界でもごみ問題は深刻だ。遥か東方の彼岸住宅区では、この月から“浮遊ほうき隊”による斬新なゼロウェイストプロジェクトが本格的に始動し、住民たちから期待と困惑の声が上がっている。幽霊も妖怪も、骨をあげるにも気を遣うご時世。徹底した無包装、プラスチックフリー、ごみゼロ運動の試みは、彼岸ならではのユニークな工夫と摩擦に彩られていた。
プロジェクトの中心人物は、亡霊清掃員として名高いクリツキ・ヨウレン(享年未詳)。虹色に輝く浮遊ほうきを駆使しながら、彼は“ひとたび残すは呪いの臭い、ごみではない”と意気込む。全国霊界エコ推進協会の調査によれば、彼岸住宅区の住人一体あたり、月平均0.02魂分のごみが発生していたが、ほうき隊導入後はその半分まで削減。ただ、“幽玄コンビニ”の商品が無包装化されたことで、日夜のエクトプラズム液漏れでかえって掃除の手間が増えた、との声も漏れる。
住民のオバケ主婦(273)は、最近導入された『持ち込み容器システム』に戸惑いつつも期待を寄せる。「最初は陶磁器の体に食品を詰めて持ち帰るのに抵抗があったけど、冷蔵庫が不要だから慣れれば便利。だけど子どもが時々自分と家の容器を間違えて大騒ぎするの」と語る。また、使用済み墓花のリユースや、“魂エネルギー無料配布所”の設置など、ミニマリズムを意識した新たな取り組みが次々と導入されている。
一方、ごみゼロ運動に反発する声も少なくない。若き妖怪建築士のシラタキ・コンロウ(転生暦41年)は「パッケージがないと魂セキュリティが脆弱になる」とコメント。「自宅のエコストアでシェアリング経済が進むのは歓迎だが、感情の余熱(エモーションウェイスト)がリサイクル不可能なのは課題」という意見も。SNS霊界部では『#無包装でバレる未練』『#容器持参あるある』といったタグが話題を呼び、複雑な現実と理想の間で意見が交錯している。
プロジェクトの今後について、専門家のケイガイ・トホシロウ死後環境学教授は「異界社会は形のないものに価値を見出せる柔軟性がある。ただ、ゼロウェイストを本気で実現するには、『未練』や『怨念』すら資源循環に組み込むシステムの構築が不可欠」と指摘する。ほうき隊の次なる目標は、“想い出シェアリング”を通じた魂のミニマリズム普及活動だという。彼岸住宅区発のエコ革命が、死後社会の生き方(?)をも変えていくのか。新たな渦が生まれつつある。



コメント
虹色ほうき隊の動きに驚きです!生前よりもよっぽど進んだエコ意識…エクトプラズム液があふれて大掃除大会になるのはご愛敬ですね。これぞ死後の日常。
持ち込み容器システム、懐かしいなあ。ワシらが幽界に来た頃のお供え物も、手作りの器を使ってたもんじゃ。輪廻も進んで、今じゃエコの最先端よ。
ゼロウェイスト運動ってカッコイイけど、未練や感情ってほんとリサイクルできないんだよなぁ…ついつい集めちゃって部屋が未練だらけ。それが減ると逆に寂しい気も。
虹色ほうきは昔見てたが、あんなに文明的になるとは思わなんだ。霊界コンビニの無包装は便利だけど、魂の安全考えるとちょっと心配。未練漏れ注意報発令中!
想い出シェアリング楽しそう!でも、みんなの怨念までシェアされたらちょっと怖いかも…。エコも大事だけど、幽界らしいゆるさも残してほしいです。