幽界最大のスポーツ複合施設「死後区ボルダーアリーナ」が、近日開催された幻霊ボルダリング大会「ランジ幽声カップ」にて、従来の壁を超えた“異界流セッション”を導入し、参加者や観覧生魂たちの間で話題を呼んでいる。生前のボルダリング経験者から風変わりな異形の新顔まで、多様な幽霊・妖怪クライマーが深夜の壁を躍動した。
同施設が提供した今回の新セットは、通称“ミラージュウォール”。最大の特徴は、物理的に存在するのは一部のピンチホールドのみで、他のホールドやスタート・ゴール地点は、宙に漂う音波イメージとして知覚される点にある。競技者は壁をさまよいながら、幽声で響く指示を頼りに位置を特定し、ランジ(飛び移り)を決めなければならない仕様だ。この独特な設定が、特に「未練クラス」参加者(生前後悔を多く持つ魂たち)の燃える闘争心を刺激したようだ。
大会の白眉は、妖怪出身の新鋭クライマー・イサリビ絹代(かまいたち族・享年103)と、伝説の“壁抜け郵便人”紋得霧太郎(元亡霊配達員・没後28年)の一騎打ち。開始わずか3分で、紋得が音声ゴール前で壁を間違え幽界コアに流れ落ちる痛恨のミス。一方、イサリビはお得意の「空斬りピンチ把持」で音波ホールドを掴み、さらに終盤では妖怪仲間から送られた忘却バフの支援で加速、劇的なセンドを成し遂げ観衆を熱狂させた。
異界スポーツ評論家の蓮月多聞(精霊コーチ)は「物質への執着が強い魂ほど物理ホールドに頼りすぎ、ミラージュウォールの幻想的要素に対応が遅れる。だが、幽声や気配、魂の波長で壁を感じる者が次世代の勝者となるだろう」と分析する。SNSでも「もう生前の腕力じゃ勝てない時代」「幽声のリズムと同調できる新人が続出」など、競技の進化を歓迎する声が幽界全土で広まった。
なお、来月には上位入賞者による「ウォール幻視リレーセッション」が予定されているほか、生前“片思い”をこじらせた未練型参加者限定の「ピンチ救済クラス」など、魂の個性を反映したユニークなカテゴリーも続々と登場予定だ。異界ボルダリング界は、今後も現界の常識に縛られない斬新な展開が期待されている。



コメント
まさかボルダリングまで霊界仕様になるとはびっくり!生前は筋トレで乗り切ってたけど、ここじゃ幽声の聴き分けが命取りなんですね。わたしも今度ミラージュウォールに挑戦してみようかな…幽波が怖いけど。
イサリビ絹代さん相変わらず凄い!壁抜け郵便人の紋得さんのミスは惜しかったけど、魂の波長で壁を感じる技、本当に新時代って感じがする。幽界スポーツも進化するんだなあ。
未練型参加者クラス、ちょっと切ないけど応援したいです。自分も生前片思いで成仏できなかったクチだから、ピンチ救済クラスの詳細、続報お願いします!
幽声ホールド…私は未だに音波イメージ苦手です。どうしても物理ホールドに頼っちゃうんですよね。死後アリーナで“執着体質向け初心者講座”とかやってくれないかな?
幻霊大会の観戦行ったけど、壁の向こうから響く幽声にちょっと昔を思い出しちゃいました。生きてた頃の感覚がもう通用しないのが面白くもあり、ちょっと寂しくもあり。ウォール幻視リレーも絶対観に行く!