幽界アウトドア沼、空前の“山こもり幽霊”ブームが到来 光るランタンと移動山小屋の最前線

夜の霧が立ち込める林間で淡く光るランタンや半透明のテントが並び、幽かな幽霊たちと小型の山小屋が見える光景。 アウトドアカルチャー
霧の森で幽界の住人たちが集うランタン・ナイトミーティングの様子。

近ごろ幽界の若年層を中心に、亡霊や妖精、時折現れる死神たちの間で「アウトドア熱」が一気に燃え上がっている。都心部の霊都から離れた未開の霧林や、天空を流れるミストサンド丘陵では、週末になると半透明のテントや自作のモビリティキャンピングカーがずらりと並ぶ光景も珍しくない。今、あの世で起こるキャンプカルチャー進化の裏側を追った。

最注目は、サワライ谷沿いの無形山域で集団キャンプイベント「ランタン・ナイトミーティング」が秘密裏に開かれたことだ。主催したのは幽界SNSで“アウトドアエヴァンジェリスト”として名を馳せる霊体インフルエンサー、久遠しずる(28・幽霊)。彼女が啓発したのは、死者にも優しい幽光ランタンの新製品群だ。これらは生きた人間の目にはほとんど見えない特殊波長で発光し、幽霊の霊体をきらめかせる効果がある。「ユニフレーム社の新作“エクリプス・ランタン”は、薄明かりとともに寂しさをやわらげてくれるので孤独な山こもりにも最適です」と久遠さんは語る。

加えて、幽界初の移動式山小屋『モビリティ・クラウドロッジ』の登場も話題だ。魔界設計師のミゼラ・ギンヌ(43)は、「生前は野営に不慣れでもこの山小屋ユニットをレンタルすれば、一晩中風雨や魑魅魍魎の干渉を気にせずに過ごせます」と解説。空間歪曲式のため、外観は手のひらサイズ、中では最大10体のあの世住人が宴を開ける。こうした山小屋は幽界のアウトドアウェア市場の活性化も後押ししており、通気霊布や温度感応型の“陽炎パーカ”など、機能性と浮遊性デザインを兼ね備えた新商品が続々登場している。

調査会社“モリノクニ総研”の分析によれば、アウトドア志向の高まりには「死後社会のデジタル過密疲れ」や「魂のリフレッシュ願望」も影響しているという。生前デジタル社会に縛られていた者ほど、自然の霊山や川辺で静謐な夜を過ごしたい志向が顕著だ。死神フィールドワーカーの神隠しカエデ(124)は、「緩やかな火の光で語り合うこの空間は、生と死、現界と異界をつなぐ懸け橋に感じる」と話し、SNS上でも“#幽キャンパー”のハッシュタグがにぎわいを見せている。

一方で、“山こもり”人気が進むことで幽界の地域コミュニティ力が弱まるのでは、との懸念も出ている。あの世自治会代表の長命ユウリ(349)は「各地の山に幽界住人が分散することで、伝統的な肝試し行事や町内憑依祭りへの参加が減少傾向」と警鐘を鳴らす。しかし市民の声には「山の向こうで新しい友だちもできた」「幽界の自然がもっと好きになった」と好意的な意見も多い。生と死の間に揺れる新たな幽界アウトドアブームは、今後どのように社会を変えていくのだろうか。

コメント

  1. あの世にもアウトドアブームが来るなんて時代ですねぇ。昔は憑依や肝試しが楽しみだったけど、山でランタン眺めて静かに過ごすのも魂が休まる気がします。転生前にはできなかったことに挑戦してみたくなりました。

  2. 幽界の山は懐かしいなぁ。生前は山歩きできなかったから死後にこうしてキャンプできるのが楽しい。エクリプス・ランタン、光が儚くて友だちの霊体も美しく照らしてくれるところが好きです。

  3. 新作山小屋とか便利すぎて笑う。生前はテント設営で苦戦してた自分が虚しいわ…。でもこれで魑魅魍魎にも邪魔されず宴会できるなら参加してみたい。肝試し減るのはちょっと寂しいかも。

  4. SNSの#幽キャンパー、最近よく見かけますね。でも山こもりばかり流行って町内憑依祭りが廃れないか少し心配です。伝統も大切にしてほしいので、両方盛り上がる仕掛けがあれば素敵なのに。

  5. デジタル過密に疲れる気持ち、よくわかります。生前も現界の都会から逃げたくて仕方なかったし、今は幽界の自然の中でふわふわ浮かびながら霊体を冷やしてます。モビリティ・クラウドロッジ、一度使ってみたいです!