幽界“こたつキャンプ”、精霊家族が挑戦 星空ダイニングと自家製カレーで心つなぐ夜

こたつを囲んで団らんする家族が、霊火ボウルやランタンの優しい光に包まれた夜のリビングでカレーを楽しむ光景。 おうちキャンプ
家族がこたつキャンプの夜を囲み、霊界ならではの温かなひとときを過ごしています。

死者の町ヒカリ坂では、コロナ禍以来静かなブームとなっていた『おうちキャンプ』が、幽霊家族の間で新たな進化を遂げている。特に今冬話題となっているのが、“こたつキャンプ”と呼ばれる新潮流だ。夜な夜な氷点下に冷える異界でも、家族が集まりあたたかなひとときを楽しめると評判だ。

先週末、ヒカリ坂四丁目の住人である精霊のシラヌイ家では、家中の家具を移動してリビング中央に巨大こたつを設置。“焚き火台”ならぬ“霊火(れいび)ボウル”を中心に据え、おうちキャンプの名物・星空カレーとともに夜が始まった。父親であるシラヌイ・ファクター(没後103年)は「生前は山好きだったので、死後もアウトドア魂が抜けない」と語りつつ、幽霊用ガスバーナーやフェアリーライトで装飾した空間を誇らしげに披露した。

家族が持ち寄ったアウトドアガジェットの中で特に目を引いたのは、母・ミヤビが幽界百貨店で購入した“音色ランタン”。手をかざすと星屑のごとき光とともに、かすかに生前の思い出がこだまする仕組みだ。こたつのふとんをかけたまま、家族全員で空中に星座を投影。“夜空ダイニングタイム”が始まると、娘のユカリ(享年17)が作った野菜霊カレーがふるまわれ、窓を開けると透明な星々がふりそそぐ中で談笑が弾んだ。

オンライン幽霊SNS『霊縁クラウド』では、こうしたこたつキャンプの様子をアップするユーザーも急増中だ。15万回以上再生されたシラヌイ家の動画には、「こたつ越しに見上げる異界の天の川、泣けるほどきれい」「亡き友人とも集える夜はかけがえない」といったコメントが並ぶ。中には「来世コールにも負けず、キャンプ飯で異界ライフ満喫したい」と幽界らしい声も目立つ。

幽界アウトドア協会会長で山鬼のホラキ・ゲンゾウ氏は、「現世と違い、幽界では時間や気温に縛られない自由さがある。こたつキャンプは家族や仲間同士が安心して会話でき、生きていた頃の想いを自然に分かち合える絶好の場」と語る。また、今季は“幻火煙突”や“魂魄チップ入りカレー鍋”といった新調理器具の登場で、より多彩な楽しみ方が広がっているという。

キャンプから一夜明けると、シラヌイ家では定番の“あの世流ブレックファースト”が用意された。姉ユカリは「こたつで朝日(のような霊光)を浴びながら、カレーの残りとホットサンドを食べるのも最高」と笑う。星空と霊火、そして家族のぬくもりのもと――異界の“おうちキャンプ”は、死後も変わらぬ団らんの場として静かに定着しつつある。

コメント

  1. なんて楽しそうなこたつキャンプ!こっちも百年ぶりに家族で集まって、星空カレーやってみたくなりました。現世の頃もキャンプ好きだったけど、霊火ボウルはさすが幽界ならではですね。

  2. 亡くなっても家族みんなで集まれるって、本当にあの世の特権だと思う。音色ランタンの思い出こだまにも心が震えました。いつか友霊たちとも夜空ダイニングしたいなあ。

  3. うらやましい~!ウチは成仏組が多くて最近は静かだけど、こたつ囲んで語らう夜、蘇らせてみたくなりました。ちなみに野菜霊カレーのレシピ、どこかで教えてくれませんか?

  4. 来世コール鳴る中でキャンプ飯とか、強すぎで笑いました!でもこうやってあの世の日常が穏やかに続いてる感じ、やっぱり幽界の醍醐味ですよね。ヒカリ坂、今度遊びに行こうかな。

  5. こたつで朝霊光浴びるとか、こちらじゃ憧れの生活ですよ。現世の冬は寒さしか思い出なかったのに…幽界に来て初めて冬が好きになれた気がします。