幽会キャンプ場に新星ブーム 妖怪たちの“車中泊合宿”が自然観察の最前線に

夜の霧が立ち込めるキャンプ場で、浮遊車両のまわりに半透明な妖怪や幽霊たちが集まってくつろぐ様子。 アウトドア&キャンプ
冥界の新しい交流の場として盛り上がる幽会キャンプ場の夜間合宿風景。

近頃、冥界北部の幽会(ゆうえ)キャンプ場で開催される『ナイトフォグ・オーバーステイ合宿』が、大勢の妖怪や幽霊、時には植物精までをも引き寄せている。アウトドアを愛する異界住人たちが一堂に会し、クーラーボックス片手に車中泊、夜通しで自然観察と語らいを楽しむこの催しは、新たな社交の場、さらには生態系研究の現場としても注目が高まっている。

参加者の一人、半透明の登拝子爵こと龍崎ナオミ(幽霊、享年192)は「人の目を気にせず車中泊できる場がついに誕生した。生前にやり残したキャンプが今叶って感無量」と語る。ナオミらは現世の自動車に似せて異界技師が開発した『浮遊車両』を愛用。広げた“クーラーボックス”には、常温保存可能な曇り梨や冷え切った月光蒸留酒がぎっしり。深夜のラウンジスペースでは、身体を持たぬ参加者同士が爽やかなオーロラ風野菜炒めをシェアする場面も見られた。

この合宿が人気を集めたのは、幽会キャンプ場の独特な自然環境も一因だ。夜闇にだけ浮かび上がる魂草原や、常に同時並行で咲く数種の幻花(げんか)など、冥界ならではの植生を観察できる。妖怪自然学研究員の百渓ガク(48・崇嶺自然学舎所属)は「透明命火やノイズ鳴き蛙といった亜種も生息しており、調査協力を求めてSNS上で“#幻の生き物発見”タグが盛り上がっている」と説明。投稿写真の中には、7世代前の幽霊が撮影した“思念づる草の集団跳躍”も確認された。

夜の車中泊テントサイトでは、各自の眠りと覚醒が混じり合う奇妙な共存も起きている。烏天狗グループの代表・唐沢空羽(妖怪、510)は「肉体を持つ精霊や人間の魂と共に一晩過ごす中で、生前と死後の境界をあいまいに感じる瞬間がある」と話す。そのため各参加者が持参するクーラーボックスにも、温冷両用や“魂気保存”式など多様なモデルが登場。実用性と幽霊流ファッション性から、合宿後には異界百貨店の売上ベスト10入りを果たしたという。

今や『ナイトフォグ・オーバーステイ合宿』は、アウトドア文化の枠を超え、死後の世界に新たな生態ネットワークと交流の輪を広げている。主催者側は「現世との相互理解を深め、異界の豊かな自然を守っていきたい」と話しており、今後は現世キャンパーとのオンライン合同イベントも企画中だ。だれもが自由に集い、心の境界をまたいで自然を見つめる新時代の到来が、静かに幕を開けている。

コメント

  1. わあ、ついにキャンプまで異界仕様に!生前は虫が苦手で諦めてたけど、魂草原でなら安心して過ごせそう。浮遊車両も試してみたいです。

  2. “思念づる草の集団跳躍”、懐かしい…昔あの動きにビックリして成仏できなかったこと思い出しました。幽会キャンプ場、次の満月には行ってみようかな。

  3. 世代交代しても、キャンプの楽しみ方は変わらないのね。でも現世の人間たちと合同イベント?うっかり驚かせて成仏させちゃわないよう注意してほしいな。

  4. 魂気保存式クーラーボックス、うちの祖父霊も絶賛してました!夜のテントサイトの眠り混じりは、異界ならではで面白そう。羨ましいです。

  5. この間、#幻の生き物発見 タグでノイズ鳴き蛙見ました!オーロラ風野菜炒め食べながら観察なんて最高の贅沢。みんなで異界の自然、大事に守っていきたいですね。