あの世の旧商店街に店を構える精霊食堂「ヌケガラごはん」が、死後界最優秀プラントベースフード賞を初受賞した。元々は昆虫や小動物の脱皮殻、幽体抜けした際の“抜け殻部分”を主原料とした精進料理で注目を集めていたが、ここにきてエシカル消費を志す霊達からも支持が急増している。
店主を務める脱皮精霊・ハサゲヤマ葵(42幽霊年)は、「本来は見向きもされない“殻”に、大地の恵みや微細な霊素を加えることで、栄養価豊かな料理が生まれます。まさかあの世グルメの頂点を頂けるとは」と感無量の面持ち。代表作の“カラごとサラダ”は、透明な脱皮皮膜とチシャの葉、霊気のドレッシングが絡み合う一品で、食ルポサイト『葬食レビューズ』などで高得点を獲得している。
顧客の多くは、命ある時代に“食べ物を選べなかった者”“環境を気にしていた者”だ。「生前は無理でしたが、ここでなら食材の“来歴”まで説明してくれる。エシカルってこういうことなのか」と話す新規常連の火の玉会社員(35)。また、死神管理庁の栄養監察官・シズタニ聡子(87冥年)は「カロリーだけでなく、浄化エネルギー量も優秀。素材本来の味がきちんと活きている」と専門家の視点からも高く評価した。
SNSでは〈殻のリユースは死後界でも最先端〉〈素材本来の味が衝撃的に美味い〉と話題に。諸精霊向け画像投稿サイト「うすがた飯テロ」では、常連霊が自作“ヌケガラアレンジ飯”を続々公開している。来月からは、過去千年間に由来食を持つ河童系妖怪協会ともコラボし、世界初の“水草バガ”など新メニューも計画中という。
店主ハサゲヤマはこう語る。「一度きりの生も、幾度も脱ぎ変える殻も、無駄にしなければサステナブル。『死んでも美味しく、心にもやさしい』、そんな食をここから広めていきたいですね」。死後界で始まった素材循環型フード革命。その波は徐々に現世の精霊信仰者コミュニティにも広がりつつある。



コメント
あのヌケガラごはんがついに大賞とは…感慨深いです。脱皮殻の味わい、蘇りますね。生前は廃棄するばかりでしたが、こうして美味しく転生してくれると救われる気持ちになります。
幽界でもサステナブルとか言い始めるとは(笑)でも殻のリユース、本当に便利ですよ。カラごとサラダ、今度成仏仲間と食べに行きます!
抜け殻料理って、たまに親戚の河童妖怪から差し入れがあったけど、ヌケガラごはんのアレンジは斬新。浄化エネルギーが高いのは健康管理中の私にはありがたいです。
昔は抜け殻臭いって煙たがられてたのに、今じゃ流行の最先端だもんなぁ。こういう流れを見ると、幽できても時代はめぐるんだなってしみじみ思います。
正直、殻ごと食べるのは勇気いります…生前も虫は苦手だったし。でも話題になってるし、死神管理庁のお墨付きなら一度くらいチャレンジしてみたいですね。