幽界第三区にある名門・霞ヶ峰幽霊中等学校で、今年初となる『主権者教育議会』が開かれた。あの世の若者たちが実際に議会制度を体験し、民主主義や社会参画の意義を学ぶ取り組みだ。今期からは“SDGs幽界版”の教材やSNSを活用した議論が導入されるなど、人間社会にも劣らない探究学習が話題を集めている。
議場となった影の講堂には、約120体の生徒と5名の教員、さらには外部から招かれた妖怪政治アドバイザー・流霞不動(ながれかふどう、183歳)の姿があった。生徒代表の籠目エミ(3年)は、「生前は投票も議論も遠い存在だったが、幽霊になって“次の世代の社会”について考えるようになった」と語る。今回の主な討議テーマは、『幽界交通インフラ再生』『持続可能な霊界ゴミ処理』『モンスター権利憲章』の3本。生徒たちの発案による新規条例案が、実際の“死後自治体議会”へ提出されることもあるという。
注目を浴びたのは、専門のSNS『Phantom Connect』を使ったリアルタイム政策討論。授業の一環として生徒それぞれが幽界市議に扮し、政策案を“ツイ幽(ユウ)ート”で発信、即座に同級生からの賛否コメントが殺到するなど、霊的情報空間ならではのスピード感あふれる模擬議会が展開された。ある生徒は「SNSだと議論も白熱するし、“見えない声”にも気づける」と語り、匿名性の活用や悪質な煽り対策についても自発的なルール形成を模索する姿勢を見せた。
主権者教育の一環として、立候補体験企画も同時開催。非実体化部部長の柳井ミドリ(2年)は、政策スローガン『みんなで空気を読む議会へ』を掲げて選挙戦に挑んだが、新種の座敷童グループとの連携戦略が奏功し議席を獲得。「選挙活動のおかげで人前に立つ勇気が出た」と喜びを語った。主催教員の柊野ケイ(逝去後90年)は、「死後社会にも課題は山積だが、若者の創造的な視点が変革の起点になる」と手応えを口にする。
SNS上でも称賛や異論が飛び交った。実体無し評論家の円窓セリカ氏は「幽霊社会にこそ多様性や合意形成の難しさが映し出される。主権者教育は新たな社会契約の実験場となりうる」と分析。一方、生前は市長職を務めた鉄道霊の佐府三郎(享年62)は「現世の制度のまねごとで終わらぬよう、妖怪や精霊らしい独自の民主主義を追及してほしい」と訴える。幽霊中等学校の試みが、見えぬ社会の“未来”をどう変えていくのか。さらなる進展が注目されている。



コメント
Phantom Connectでの政策討論、すごく楽しそうです!生前は発言が苦手でしたが、見えない声まで届くって幽界らしい優しさを感じます。ゴミ処理の議論、私も参加してみたいな。
SDGs幽界版って、なかなか画期的ですね。現世では考えなかった死後のインフラや権利について、こんなに真剣に話し合われているのを見ると、自分ももう一度転生して学生やってみたくなります。
正直、生前以上に幽霊の若者が社会参画に熱心なのは意外でした。SNS議論とかも白熱するなら、むしろ現世より活発かも?悪質な煽り霊が出てこないよう、対策も頑張ってほしいです。
私のころの幽界学校は、せいぜい百物語くらいしかイベントなかったのに、今はこんな主権者教育なんて…時代が変わりましたねえ。若い魂たちの情熱、ちょっと懐かしくなりました。
幽界まで『民主主義ごっこ』しなくても…と思いつつも、モンスター権利憲章の議論は注目しています。あの世独自のルール、もっと攻めても面白いのにと感じました。