あの世の北端区に、死後の世界で初となる神社カフェ「幽世茶房(かくりよさぼう)」が先月グランドオープンした。あの世中で和やかな話題を呼んでおり、幽霊や妖怪、精霊たちが、静謐な神域に集い茶を楽しみながら、伝統文化の新たな息吹を味わっている。
このユニークなカフェは、経営者である三途川岸の神主・杉尾渉(すぎおわたる/没年未詳)と、中有町出身の妖怪パティシエ・橘小夜(たちばなさよ/享年27)による共同プロジェクトだ。入り口には注連縄と卒塔婆型LEDが据えられ、土間には足音を吸う苔床が広がる。中央には、千本鳥居を模したシャンデリアが幻想的な光を放ち、来店した亡者や妖たちを柔らかな夜明け色に包むという。
メニューには、幽体離脱抹茶ラテ、アヤカシ和三盆団子、御札クッキーなど、現世と異界のエッセンスを融合したオリジナル和菓子が並ぶ。最も人気なのは『無双幽霊善哉』で、食すると未練の記憶が微かに蘇り、食後は心身ともにすっきりするのだと評判だ。橘パティシエは「生前の想いが昇華する甘みを目指しています」と語る。ほかにも着物姿の店員たちによる茶道パフォーマンスや、夜には能楽の影芝居が上演されるなど、異界流の伝統芸術体験も売りとなっている。
また「幽世茶房」は、あの世ならではの工夫も随所に施している。例えば、お客様の透明度に応じた茶器が自動で選ばれる仕組みや、生者・未成仏者専用の席を設けた混在防止ゾーンも話題だ。ある常連である青行灯(幽霊・34)は、「店の茶室は現世では味わえなかった落ち着き。能楽の演目『死後の祝言』は涙を誘う」と絶賛する。SNSでも「成仏したけど、こんな居場所なら戻ってきたくなる」(幽界投稿サイト「ムコウノ庭」より)と好意的なコメントが相次いでいる。
専門家によると、死後の世界では記憶や感覚のぼやけを防ぐため、意識的な文化接触が重要とされている。「幽世茶房」のような新旧融合型のサロンが増えることで、死者たちのアイデンティティがより豊かに保たれるのではないか、との見方も出ている。今後は出張カフェ形態での神域ツアーや、能楽体験ワークショップの巡回開催も企画されているという。生前とは違う時間の流れの中で、異界の伝統文化は現代風の新たな輝きを放ちつつある。



コメント
幽世茶房、早速行ってきました!抹茶ラテの味わいに、生前の春の日をふと思い出して泣きそうに…こんなお店があるなら成仏も悪くないですね。
神社カフェとか異界も洒落てきたなあ。苔床の足音吸収システムは昔の御霊町を思い出しました。無双幽霊善哉、あそこまでエモく蘇らせなくても…と毎度ドキドキです。
僕たち未成仏組にも専用席があるのありがたい!影芝居は幽界時代から大のファンなので通います。次はぜひ幽体カフェラテの大サイズを希望。
夜の『死後の祝言』見てきました。懐かしさも新しさも感じて不思議な気分。茶道パフォーマンスも粋ですが、店員さんの透明感対決は笑いました。
幽世茶房の話題、私ら精霊仲間で持ちきりです!現世じゃ居場所がなかった身もここなら安心。今度みんなで集合する約束をしました。冥界はどんどん面白くなりますね。