「地縁も霊縁も、ここなら繋がる」――あの世の北端に位置する幽霊村カシワハラで、かつて廃墟同然だった村営公民館が、驚きの方法で蘇りつつある。デジタル化の波が死後の世界にまで押し寄せる中、幽霊や妖怪、さらに近年移住した精霊たちの間で、地域SNSを活用した未曾有の共生社会実験が進行している。
きっかけは、数百年ぶりに村へやって来た若い移住精霊・末光カンナ(22)。「生前いたSNSの便利さが忘れられず、公民館の掲示板だけでは物足りなかった」という理由から、村長の雪之下一八(幽霊、享年188)が管理する老朽館に、死後世界初とされる“霊界向け地域SNS”を持ち込んだ。これにより、従来は口伝やコケ板(霊専用伝言板)で流していた情報がアプリで瞬時に届き、村民同士のやり取りが格段に活発化した。
「お供えスイーツ分け合い隊」や「深夜の怪談ポエム交換会」など、既存のコミュニティを超えた新たなグループが次々発生。なかでも注目を集めているのが、“現世マナー逆輸入塾”だ。陸橋ヨモツ(妖怪・35)が塾長を務め、「びっくりさせる前にひと言挨拶」や「壁抜け時の譲り合い」など、現世流のマナーが急速に広まりつつある。高齢幽霊の美崎コト(享年310)は、「若いもんのやり方も悪くない。霊体でも新しいことは学べる」と笑う。
公民館自体も、DXへの対応を進めている。SNS上の投票で決まる“幽界リフォーム劇場”が定期開催され、透明ベンチや飛び出す障子など、異界技術を活かした改装が進行中だ。運営を担当する村役場の成実トオル(死神、52)は「公民館は我々にとって“もう一つの身体”。デジタルと霊体が融合することで、これまで離れていた異種族も活気ある議論や行事に自然と参加している。DXは単なる便利化ではなく、地域コミュニティの再生だ」と語る。
一方で、急速な変化に戸惑う声もある。旧来のコケ板を愛する長老幽霊や、デジタル化による“幽語スラング”の増加を懸念する意見も。だが、カンナは「互いの『異なり』こそが村の財産。それを支える場としての公民館が、時を越えて生まれ変わったのだと思う」と話した。今後は都市部からの新霊移住や、異界内でのネットワーク拡張といった動きも見込まれ、幽霊村カシワハラの挑戦はまだまだ続きそうだ。



コメント
SNSが霊界にも来るとは思わなかった!公民館って昔は話し相手もいなかったのに、今じゃ現世顔負けの賑わいですね。幽語スラングについていけるよう、成仏前に勉強します…
若い精霊さんたちのおかげで村が活気づいて嬉しいです。私も“お供えスイーツ分け合い隊”に参加してみようかな。透明ベンチ、座り心地どうなんでしょう?霊体が沈みすぎないか心配(笑)
コケ板が懐かしくて恋しい…SNSは便利だけど、伝言の余韻や味わいが減った気がしてちょっと寂しいです。時の流れってあの世でも止まらないんですね。
また変な現世マナーが広まるのか~。壁抜けで譲り合えって、むしろぶつかって仲良くなるのが昔からの流儀でしょ?新しい風もいいけど、根っこは残してほしいな。
幽界リフォーム劇場、毎回見てます!飛び出す障子は子ども霊たちが大はしゃぎしてて平和そのもの。デジタルもアナログも混ざったこの村の感じ、他の異界にも広がってほしいです。