死後の世界第七環区で、今世紀最大規模とされる河川精霊たちの大移動が始まった。全国23地区の川の神々や流域精霊が“都市型川の駅”へ一斉に拠点を移し、異界社会における清流再生プロジェクトに本格着手するという。現地では幽霊市民や妖怪観光客、研究者の間で大きな話題を呼んでいる。
「川の駅」とは、古くは河童や水女(みずめ)が住み着いたとされる伝統的な霊的中継地のことで、近年は死後都市の水辺交流拠点としても注目されてきた。今回の大移動を主導するのは、川神連盟の会長・水脈ヒサエ(みお ひさえ/926歳)。「昔は人の目を忍び、森の中の湧き水で静かに暮らしていました。しかし、都市型幽界では川の拘束や透明度の低下が進み、我々の出番が来たと実感しています」とヒサエ会長は語る。
第七環区の“新川の駅”には、スマート石碑や半透明ベンチ、精霊型自販機などの最新設備が整い、死者や妖怪が気軽に立ち寄れる。SNS上では、多くの幽霊市民が #川フォト を投稿。「新しい清流のせせらぎに、心が洗われる」(トンボ妖婦・珊瑚ヤミ/年齢不詳)、「昭和川柳大会の会場が再開!『水面越え 声カラカラと 魂消やすし』」(詩人ゴースト・沼田若菜/享年35)など、多彩な声が寄せられている。
川の自然再生を研究する死後環境学博士・斑橋ユタカ(むらさきばし ゆたか/没後112年)は「川の神々の拠点集約は、流域の多様な命の再起動を促します。異界独特の“水の記憶”が豊かに再生されることが期待されます」と解説する。実際、先月には、多摩冥河の下流で“かつての魚影”が幻影として戻り、釣り妖精らが興奮したという。
今後、川の駅プロジェクトは幽界全域に順次拡大し、人間界に散らばった小規模精霊の逆輸入も議論されている。水脈会長は「神も妖も幽霊も、清らかな川辺ではみな同居できる。現世の川も、この世界の川も、豊かさを取り戻してほしいのです」と呼びかける。
各地の川の駅では今月末に合わせて精霊たちによる写真展や、亡者向けの川柳コンテスト、流域再生のワークショップが予定されている。死後社会の新たな水辺文化が、今まさに動き出そうとしている。


コメント
第七環区の川がまた賑わいますね!転生してから水辺でのんびりすることも減ってたので、新しい川の駅、ぜひ行ってみたいです。子供の頃のせせらぎを思い出し、懐かしい気持ちになりました。
精霊型自販機ってどんな商品が買えるんでしょうか?人間界にはない幽界ならではの川のお土産があるなら絶対行きたいです。都市型と聞くと少し寂しいけど、新しい清流の時代が来るのも楽しみです。
いやー、あの川の神々が一斉に動くとは…これは魂消ました。川の駅に昔の魚影が幻影で現れるなんて、魚釣り好きには夢のような話ですよ。ほんと、成仏して良かったと思えるニュースですな。
再生プロジェクトは素晴らしいけど、都市型になることで伝統的な川辺の静けさが失われないか少し心配です。幽界も近代化の波ですね。今度の川柳大会でその気持ちを詠んでみます。
幽界の川事情もずいぶん変わりましたねえ。わしの若い頃は、水女が昼寝してるそばに近づくだけで怒鳴られたもんですが、今や誰でも気軽に立ち寄れる場所が増えて、ちょっと信じられません。時代の流れを感じます。