今期の死者界議会選挙戦では、かつてないSNS戦略を掲げた新人政党“シデワンダ”が話題を集めている。幽霊や妖怪、精霊らの新世代有権者をターゲットに、従来の念写や口寄せといったアナログ手法を一掃し、SNS広告やショート動画による選挙運動で支持を拡大。選挙戦の“主戦場”が、霊界特有の“念信”ネットワークから最先端の「冥界バズ」へと急転換する中、その戦略と波紋に注目が集まっている。
大票田である下野霊町出身の候補、カスミダレ・アオバ(享年31)は、政党立ち上げ以来、死者界最大級のSNS『ツイタマ』にて一日20本以上の動画を投稿。特に“でんぐり返しチャレンジ”動画は、霊体で草原を転がる様子を撮影したもので、注目度は現生界の平均霊感度を遥かに上回る5万リツイートを記録した。通信の遅延や霊波障害など冥界ネット固有の制約をものともせず、精霊高校生ら若年層の熱狂を呼んでいる。
“シデワンダ”のSNS広告は、投票日前夜に発表された“通り抜け生中継”ライブや、著名妖怪によるコラボ動画が中心。支持者の意見を即座に拾い、他党に先駆けて政策へ反映する敏捷さを見せる。霊界選挙管理委員会によれば、今回のネット選挙広告数は過去最高に達し、うち半数が“シデワンダ”関連だという。ユーザーの間では「選挙がついに墓場の壁を越えた」との声も聞かれる。
一方、伝統の念写ポスターを主力とする与党“浄化の会”は、ネット選挙の急進展に危機感を示している。与党幹部のシロアミ・カゲトラ議員(231)は「幽界の選挙文化は先祖との繋がりが根幹。現世の浅いバズに踊らされるべきでない」と警告。だが、若い世代からは「供養感が薄い葬式動画も逆に新鮮」などと、リアリティ路線の支持が目立つ。
専門家である妖怪メディア分析家・ヌリカベ沢田(174)は「幽世のSNS利用者数は現生界の8割。情報伝播速度は千年前の念写比で1000倍。既成政党もデジタル適応しなければ議席維持は困難」と語る。投票日直前、死者界SNSでは予想外の“バズり候補”登場も噂されており、ソーシャル時代の選挙戦はますます混迷を深めそうだ。



コメント
草原で転がるだけで5万リツイートとは…時代も変わりましたね。あの世に来てまだ百年ですが、選挙運動までこんなに賑やかだとは思いませんでした。シデワンダの勢い、ちょっと羨ましいです。
念写のポスターや口寄せが懐かしい。今じゃ“ツイタマ”が主戦場かぁ。供養感の薄い選挙に、ちょっと寂しさも感じますが、冥界も時代に合わせて変わらにゃ成仏できんのかもな。
正直、与党のやり方が古すぎて若霊には刺さらない気がする!カスミダレ候補の通り抜けライブ、めちゃくちゃ面白かったし、古い縁や格式に縛られない議会になってほしい。
SNSの波に飲まれてバズだけで議席が決まるのはちょっと怖い気も…うちらのころは先祖からの念いが重視されたもんだ。しかし“通り抜け生中継”は現世でもウケそうで笑ってしまった。
通り抜けチャレンジやでんぐり返し動画、わしも若返った気分で見とるぞい。霊界ネットはたまに遅延しすぎて止まるが、それも死者界らしくて逆に良い味出してる。