発光キツネ族の就活解禁、職場“光害”めぐり多様性議論噴出

オフィスのデスクで発光するキツネ族の若い職員が、ほかの死者の同僚と距離をとって座っている写真。 差別
発光キツネ族の新人職員が職場で周囲と隔たりを感じる一場面。

死後都市レリクサで、発光キツネ族の就職活動解禁を受け、地下鉄職員や行政機関など各界に波紋が広がっている。夜間でも昼間同様に身体が発光する同族の雇用をめぐり、“光害”を理由とした職場差別が問題視され、死後社会の多様性と包摂性について新たな議論が巻き起こった。

経過霊体管理局のバルム・カトウ局長(亡年175)は、「本年度からキツネ族にも等しく公的機関での就業機会を保障する流れができた。だが実際の現場では、“他の死霊の眠りを妨げた”などの苦情が相次いでおり、適応の遅れが露呈している」と苦言を呈す。行政サービス部門では、3月に着任したばかりの発光キツネ族の新人職員、ズイル・リョウガさん(享年22)が担当部署内で遮光幕の使用を求められ、同僚との溝が生じている。

ズイルさんは取材に対し、「私たち発光種は昼夜問わず輝くが、それが安心や活力になる場面も多い。だが、“眩しいから夜班には来ないで”と言われたり、休憩室が個別になったりと、隔離されているように感じたこともある」と語る。また、SNSでも『発光=危険』という根拠のない偏見や噂が拡散され「光る族は穢れ」「暗闇でこそ死後生活」といった差別的なコメントが目立つ状況だ。

死後社会のダイバーシティ推進を掲げてきた中性地帯評議会の識者、シオノ・セラフィーナ博士は、「死後世界では本来、肉体的特性や起源に基づく序列意識が少ないはずだった。しかし近年の人口多様化とともに、かつて存在しなかった排他的な動きが顕在化している。発光キツネ族をはじめ、形状や性質が異なる異種族と共生するには、物理的な対応策だけでなく、死後社会の住人ひとりひとりが心の内側から『多様性』を理解することが不可欠」と警鐘を鳴らす。

一方、民間では発光族の特性を生かした雇用モデルも登場している。幽界バス運行会社『リャド・トランジット』では、暗闇誘導員に発光キツネ族を積極採用。「夜間の安全性が格段に高まった」という利用者の声も寄せられている。同社のアンビ・トム専務は、「適材適所のダイバーシティ経営は重要。だが“光るからこの職しかダメ”という固定観念に陥らぬよう、配慮と挑戦のバランスが必要だ」と語った。

市民の間では「死後はどんな種も平等」が建前とされているが、光る存在と暗闇を好む者たちの共生は容易でない。死後社会のダイバーシティ実現には、見えない“心の階級”を超えた理解と歩み寄りが求められている。

コメント

  1. 私は暗闇派だけど、発光キツネ族の友達がいるので今回の議論は複雑な気持ちです。夜な夜な輝いてても一緒に遊んだことあるし、それくらいで眠れないなんて大げさじゃない?もう少し寛容になってほしいな。

  2. 異界にも結局こんな“光害”みたいな問題が起こるんですね。生前の社会と変わらぬ差別意識が残ってるのはちょっと残念…成仏してなお心の壁が分厚いとは。

  3. 昔は発光族を見かけると霊灯祭みたいに賑やかで嬉しかったんだけど、職場だとトラブルになるんですね。個性が生かしづらい世の中になったものです。うまく共存できる工夫がもっと増えたら良いのに。

  4. SNS上の“光る族=穢れ”という風説、完全に根も葉もない!死後の世界なのに、まだそんな分断があるなんて悲しくなる。発光キツネ族だって立派に働きたいはず。早くみんなの意識がアップデートされますように。

  5. 幽界バスの夜間誘導、発光キツネ族がやってくれたおかげで道に迷わずに済みました。やっぱり異界でも“適材適所”が大事なんですね!もっといろんな場で活躍してほしいです。