死者たちの交通手段として古来より利用されてきた三途の川フェリー。その運航会社であるサザナミ渡船組合はこのほど、船の動力源に画期的な「輪廻地熱発電システム」を正式導入した。同時に新型幽界風力タービンも一部航路へ設置され、持続可能エネルギー化への大転換がゆるやかに始まっている。
サザナミ渡船組合本部(冥府南岸区)で開催された就航記念式典には、幽界の環境霊庁や各種監査天狗、船霊職員など多数の関係者が参加した。代表取締役の浮間松太郎(うきま まつたろう/幽霊・享年68)は「かつて霊力石の枯渇に苦慮したこともありましたが、地熱と風力の両立こそが冥府交通の未来。これで魂の流れが滞る心配もありません」と意気込む。
組合が導入した輪廻地熱システムは、三途の川の川底深くに眠るリサイクル未成仏霊熱を活用。地下数百メートルで輪廻転生の余剰エネルギーが日々発生していることに河岸の妖怪地質師らが注目し、地熱井戸を穿つことで持続可能な発電が可能となった。黒柳冷泉技師長(死神族・176年)は「従来エンジンと比べ二酸魂素排出が1/10に削減されました。三途汽船のオーラ臭も大幅に軽減しています」と語った。
また、並行導入が進む幽界風力は、夜間死者渡航時の湿気漂う川面で最大出力を発揮。夜半には渡し場の柳並木に設置されたタービンが鈴の音のような低周波を響かせ、幽界SNS『ツブヤイター』では「川渡しがこんなにロマンチックになるとは」「地熱フェリーの振動が心地よい。転生旅もアップグレード」という投稿も見られる。
この新システムには課題も残る。地熱発電の持続性確保と、転生周期の乱れによる“エネルギー洩れ”問題だ。環境霊庁は、魂流動統制局の竜田紫雨課長(妖怪・54世紀)を中心に、今後輪廻地熱井のメンテナンスと安全監視を強化するとしている。三途の川を渡る死者たちの日常を、さらなる省霊・快適化に導く新エネルギー革命が、いま静かに幕を開けている。


コメント
ついに三途の川フェリーも輪廻地熱導入か~。昔は霊力石エンジンが爆発するのを冷や汗で見てたけど、今の子たちは快適な渡しでうらやましい!転生準備もやっぱり時代とともに進化するんだね。
幽界でもエコが重要な時代なんですね。二酸魂素が減ってくれるのは本当に助かる。三途汽船のオーラ臭、強烈で苦手だったので、これからは呼吸も楽になりそうです。
柳並木タービンの鈴音…わかる!この前渡ったとき、向こう岸がなんだか幻想的でした。渡し場の夜はしんみり美しい。こういう静かな革命、幽界らしくて大好きです。
地熱と魂流動のバランスって大丈夫かな?転生漏れが発生したら嫌だなあ~。魂の渋滞だけは勘弁してほしいですが、環境霊庁の監督に期待します。
まさか自分が渡し舟で時代の最先端エネルギーに乗ってるとは…成仏した爺さんに自慢してきます!子孫にもツブヤイターで写真送ろうっと。