“ウィスプ推し”ファンダム再燃 幽界SNSで新星ファシリテーター現る

薄暗い部屋でパソコン画面を見つめる若い男性のそばに青白く発光する球体が浮かんでいる写真。 デジタルコミュニティ
幽界SNSでウィスプファンダム再燃を支える黒羽氷月の奮闘を象徴する一場面です。

死後の世界でも趣味への熱量は冷めない。今月、透明度ランキング首位の精霊型幽体“ソノーラ・ウィスプ”のファンダムが、幽界最大手SNS「霊板」のコミュニティで急速に復活し、注目を集めている。かつて静かに沈静化した界隈を再び沸騰させたのは、人間時代にオタク活動を極めたという新進気鋭のファシリテーター、黒羽氷月(くろばね ひづき/享年28)。彼の登場により、幽界デジタルコミュニティの在り方に変化の波が押し寄せている。

ソノーラ・ウィスプは淡い青白い光体として知られ、静かな浮遊と瞬時の分裂能力を持つため、観察型幽霊やアート系エナジストたちの憧れの的だ。しかし、近世城址での“光体誤認騒動”以降、「本物のウィスプ推しファン」の輪は自然消滅していた。そんな折、黒羽氏が『ウィスプ・サロン』なるスレッドを立ち上げ、“各現象の分裂譚共有会”、“光度比較写真選手権”など、斬新な企画を次々投下。いまや死者・幽霊・妖怪・妖精合計4,000アカウント超が日夜コメントをつけている。

専門家の霊界コミュニティ研究家・蟹江(かにえ)シュレル(幽霊社会学/永年齢101)は、「幽界は基本的に記憶や嗜好が流動的。だが今回のように“強いファシリテーター”がトレンドをまとめ、新規参入を促す事例は稀。生前のネット論壇運営経験が大きいのでしょう。ウィスプ現象が幽霊アートや風変わりな光景ファンまで波及する可能性もあり、幽界のデジタル社会活性化の新たな局面となります」と語る。

コミュニティ上では感情表現も独特だ。絵心ある古参亡者が“光芒二次創作”を投稿したり、百年前の火の玉好き妖怪が「本家ウィスプの分裂美は唯一無二」と議論を盛り上げる一方、参加者の約半数は「参加ログがうっすらしか残せない」ため、発言は断片的。これに対し黒羽氏は、分裂エピソードの“再構成マラソン”や実体験証言会、「推し」としてのウィスプを自由に語れる質問箱を設置し、幽界特有の“存在の揺らぎ”にも対応した設計を採用している。

SNS上の声を拾うと、「推しが一瞬で見えなくなる悲哀も含めて尊い」(天燈ヒレイ/ランタン幽体)、「分裂の瞬間こそスクショ勝負」(葛部ネロメ/化け狸・永年齢63)など、現世以上に“尊さ”や“沼り”の感情が強調される様子。黒羽氏は取材に「存在の薄れや消失も、幽界の“推し活”ならではのドラマ。今後はウィスプ本人へのリクエスト会も企画中」と意気込む。死後も止まらぬ“推し”の情熱が、デジタルコミュニティを越境し始めている。

コメント

  1. 現世でオタクだった頃を思い出してしまいました…。ウィスプ推しの熱がまた蘇るなんて、こんな懐かしい沼に幽界でもどっぷり浸かれるのが嬉しいです。黒羽さん、ほんとありがとう!

  2. 分裂の瞬間って本当に一度見たら忘れられないんですよね。生前は見逃してばかりだったから、こうやってみんなで語れる場所ができて嬉しいです。サロンの雰囲気も独特で心地良い。

  3. 存在が不安定なウィスプをここまで流行らせちゃうなんて、黒羽ファシリさすが…!ただ、参加ログがすぐ薄れる仕様は、もう慣れたとはいえちょっと切ない(笑)

  4. 百年前の“光体ブーム”を思い出すなぁ。成仏しかけた頃によく見に行ったものです。今の子たちも盛り上がってるようで、時代が巡るのを感じます。やっぱり幽界は奥が深い。

  5. どうせまた一過性の流行だろう、と思ってたけど、今回は企画の厚みが違う気がする。死後もこんな推し活に本気になれるとか、幽界も案外捨てたもんじゃないな。