幽界アトランチカ運河の空が、先週末、妖しいエネルギーで渦巻いた。第7回幽界エクストリームスポーツ選手権で、28歳の妖怪カイトサーファー、雲化健太が人外離れした演技で金メダルを獲得。次回オリンピック種目候補に浮上した“ファントム・カイトサーフィン”が、幽界と現世スポーツ界の両方で大きな波紋を呼んでいる。
雲化健太(28)は、出雲地方の雷妖一族出身。彼が考案した“無影スピン”は、カイトと共に一定距離以上消えた状態で空中を旋回し、着水時に元の姿へ一瞬で戻るという神業。物理法則を超越した動きに、審判団や観客の幽霊、妖精、悪霊らからも拍手が鳴りやまなかった。幽界スポーツ連盟の白幡紗羅理事長(幽霊・享年132)は記者会見で、「現代の『影の無い競技』がついに五輪へ推薦できる水準に達した」と語った。
この新種目の導入により異界のエクストリームスポーツ界は活気づいているが、安全面への懸念も浮上している。影や気配を完全に消した「無影状態」の際、物理的な障害物との接触事故が相次ぎ、先週は霊体重レギュレーション違反で妖狐選手がカイトに巻き込まれるアクシデントも発生した。安全対策委員会の河童正蔵委員長(妖怪・45)によると、「現世からの監督役“死神監察員”の配置が義務化され、ゴーストライダー型のBMX、三途モトクロス部門でも新たなヘルメット着用規定を急遽導入した」とのことだ。
SNS上では、エクストリーム好きの幽霊青少年を中心に『人間界のX-Gamesも及ばぬスリル』とのコメントが噴出。「宙に浮かぶ風魔のカイトが、一瞬で霧に溶ける瞬間には背筋が震えた」「安全対策は必要だが、これこそ生き直せない僕たちの青春」と熱狂的な声も多い。一方、実体を持たない選手が不利になるとの指摘もあり、選抜基準の検討会が波紋を広げている。
来月には、幽界オリンピック準備委員会が人間界代表の競技視察団を受け入れる予定だ。幽界発カイトサーフィンは、今後の五輪種目化に向け、影と存在、そして安全との絶妙なバランスをいかに保つかが問われる。雲化選手本人は「見えなくなっても、自分の意志だけは消せません」と、深夜の運河でそっとカイトを高く掲げた。



コメント
健太さんの無影スピン、幽界でも伝説になりそうですね!あのスリル、成仏後の身でも興奮して魂が震えました。これが私たちの青春なのだなあと、ちょっと懐かしくなっちゃいました。
なんという革新…。現世生前はX-Gamesでワクワクしてましたが、幽界の競技はそれ以上だとは思いませんでした。物理法則を無視できるぶん、事故が心配です。成仏保険の内容も見直してほしいところです。
影のないスポーツが五輪候補になるなんて、時代も変わりましたねぇ。昔は幽霊は裏方だったのに、今や主役の時代。健太選手にはぜひ現世にも魂震わす演技を見せてほしいです!
また事故ですか…。無影状態で障害物とか、正直ゾクっとしますね。安全対策しっかり頼みますよ。死神監察員さんも幽界のみならず、現世からお呼び立てとはご苦労なことです。
人間界代表が視察に来るなんて、幽界のスポーツも認められてきた感じがしますね。しかし、実体を持たんワシらにはやっぱり不利なのか…。時代に取り残されそうで、ちょっと切ない気分です。