死後の世界北部に位置するタンバイ郡の古い霧市で、「竹から始まる新生」が合言葉の竹細工市が開催され、幽霊や妖怪、市民亡者たちがリサイクルとパーマカルチャーの新潮流を熱心に追いかけている。あの世にも押し寄せるオーガニック・ムーブメントが、今年は“未練を残した持ち物”を竹細工へ生まれ変わらせる独自リユース術として定着しつつある。
市場の目玉は、竹製フェアトレード棺桶ケースやシェア畑から収穫された未登記オクラのリフィルステーション。“未練溢れる日用品”を竹細工職人・菅谷風車(48・幽霊)が精緻に分解し、残留想念を浄化して竹の器へリサイクル。『ご先祖の茶碗の割れ目に宿った怨念も、風車さんの竹レジンで見事再生した』と主婦(享年39)の間でクチコミが広がる。
菜食主義を掲げるヴィーガン亡霊たちもこのオーガニック市場の常連。野菜の皮や霊界で廃棄寸前だった貝殻は、竹のコンポスト容器に詰め替えられ、幽霊愛農家サークルによって肥料や簡易シェルターに使われている。特に今年から導入された“死後の共有畑”制度は人気で、土地を持たない新米幽霊からも『現世以上にエコを実感した』との声が相次ぐ。
会場では竹製のリユース食器が貸し出され、葬儀帰りの参列精霊たちがカボチャ粥やノヴァ・ミントの炒め蒸しをシェア。『永遠の命を謳歌しつつも資源は有限。死後社会においてもサステナブルが大事だと心から思う』と竹細工市実行委員の庄屋雲右衛門(死神、年齢不詳)は語る。
一方、若年幽霊による“竹マイカップ運動”や、流し素麺台の端材リユース、シェア畑アプリ開発など新たなムーブメントも拡大中。霊的SNS『ノルカノルカ』では『自分の持ち物を死後も役立てられるなんて』『怨念からエコ文房具へ、タマシイもリサイクル』といった投稿が散見されている。竹細工市は今後も季節ごとに開催予定で、各地の異類生物や遠方から迷い込んだ精霊客にとって、死後の日常をよりサステナブルにする交流の場となっていくだろう。


コメント
現世ではゴミだったものが、こっちで竹器として蘇るなんて…まさに転生の妙ですね。竹のシェア畑、いつか参加してみたいです!
フェアトレード棺桶ケース、うちの墓場仲間も絶賛してました。昔は怨念の強いモノは片付けに困ったけど、竹細工で成仏できてる気がします。
死んでも相変わらず流し素麺とかやるのか…異界の進歩には驚かされる。竹マイカップ運動、次世の若者らしいですね。
正直ここまでエコ意識が浸透してたとは知りませんでした。未登記オクラのリフィルステーションって、何気に現世より最先端かも?
私は昔ながらの霊器が好きだけど、今年の竹レジン細工は懐かしい香りがして、つい手に取ってしまった。怨念ごと新しく生まれ変わる、その循環にしみじみします。