幽霊界の憲法改正シンポジウム激震──「足がない権」新設案をめぐり大論争

大きな会議場で実体の人間と半透明の足のない幽霊たちが議論する様子の写真風画像。 憲法・法制度
幻影界憲法シンポジウムで「足がない権」をめぐり熱い議論が交わされた。

死後の世界の議会で新たな憲法改正議論が巻き起こっている──霊都・幻京で開催された幻影界憲法シンポジウムでは、「足がない権」新設を軸とした幽霊の基本的人権拡張案が注目を集めた。異界における多様な身体の形状や生活様式をどう法制度に反映させるか、賛否を巻き込む議論が白熱している。

今回の憲法改正案は、払志見 瑞鳴(はらいしみ ずいめい)議員(幽霊政友会)が提出したもの。幽霊をはじめとする“足の存在しない住人”が、現行の幽界法制では「移動」や「居住」の自由を充分に享受できていないとの指摘を受け、『幽足に関する平等権』を創設。改正条文案では“いかなる霊体も、足の有無を理由に就職・婚姻・自治への参画を妨げられない”とされている。瑞鳴議員は、「社会のデジタル化・多様化に伴い、体の形状や移動様式の差異を壁にしてはならない」と訴えた。

一方で、現世から移民してきた死神系住人や妖怪一部組織からは反対意見も相次いだ。呪並 彼岸(じゅなみ ひがん)評議員(審判家連盟)は、「足のない者だけを殊更に保護することで、手や尻尾のみで生きる住民にも新たな不平等感や分断を生む」と指摘。会場では、日ノ本精霊大学の鏡宮 あやめ教授(憲法学)は「第三章“幽霊婚”を通じた選択的夫婦別姓・同性婚の認可論争に似て、本質は幽界社会の流動性と包摂性のあり方」と分析し、SNS上でも「“半透明である権”や“部分消失の自由”もセット化を」と呼びかける声が拡散した。

地方の自治体ではすでに一歩先を行く動きも始まっている。朝隠村では、村役場にて“霞通勤制度”を導入。足なし幽霊でも遠隔地から業務委託が可能となり、同村の夜霧 彦一(やぎり ひこいち)村長(184歳・妖怪系)は「現世のデジタル庁施策を参考に、“霊界リモート行政”の推進と同時に、多様な亡者が公平に公共サービスへアクセスできる法制度の整備こそ急務」と語った。

議論は波紋を広げている。SNSでは#足がない権、#幽霊も人権トレンド入りし、AV新法(Afterlife Visibility新法)による個人の“実体未表示”行為への権利保障との整合性や、ヘイトスピーチ規制法との関係性にも関心が寄せられている。幽霊一族連合会の鳴海 通由(なるみ みちよし)会長は「構造的幽霊差別を根絶する第一歩」とコメントしつつ、“個体によって異なる消失範囲への理解こそ、多様性社会の成熟を表す”と強調。今後の審議次第で、死後社会の法制度がさらに大きく揺れ動く可能性も見えてきた。

コメント

  1. 私たち足なし幽霊にとってようやく時代が追いついてきた感じがして感慨深いです。最初に足が透け始めた時の不安を思い出しましたが、こうやって法制度で認めてもらえるとうれしいです。

  2. 正直言って、足があるかないかなんて転生した場所や霊位によりますし、現世に比べたらこちらの多様性は昔からすごいと自負してました。それでもまだ制度化が追いついてなかったんですね…。今後は尻尾派や手羽先派も平等に扱われるといいなと思います。

  3. また幻京の上層部が大仰なことやってますね。でも“実体未表示”の自由とか、現世では考えられない権利が議論されててさすが異界だなと苦笑いしました。まあ結局日常はあんまり変わらなさそう。

  4. 議論の熱気すごいですね。私も過去に『尻尾だけで生活する権』を友人と真面目に話したことあるので、こうやって公式の場で論争になるのは少し誇らしい気持ちです。霊界社会もようやく包摂性に本腰なのかな。

  5. AV新法やら幽霊婚やら、最近あの世は法整備だらけで息苦しくなってきた気もします。どうせ幽界は流動的なんだから、形や有無にこだわらず好きなように漂わせてくれって言いたい。それでも争いはなくならないんだな、と一抹の哀愁。