死後世界の生命科学研究所がこのほど、幽界全域に生息する精霊樹(セイル・ドリュアッド)のゲノム(全DNA配列)解読に成功したと発表し、界隈に驚きと期待の波が広がっている。特筆すべきは、精霊樹にのみ発見された神経伝達様の機能を持つ「神経枝」DNA配列で、その働きを巡り研究者や精霊たちの間で議論が巻き起こっている。
精霊樹は死後の森で主に観察され、この世とあの世の生態系をつなぐ不可欠な存在とされてきた。しかし、その生殖や記憶伝達、意思通信など独特の現象は長年謎とされてきた。『幽界生命科学研究所』のプロジェクトチーフであるウツロダタミ・ミナ博士(387)は、「神経枝」と呼ばれる新しいDNA配列が細胞間で情報を“電流”のように運び、他の精霊や幽霊に感情や知識を伝達する役割を担っている可能性が高いと話す。「この配列は、樹木の枝先でのみ高濃度に発現し、近隣個体にも波のように伝播する性質があります。つまり、精霊樹は森そのものを巨大な“神経網”として生きているかもしれません」。
最近の研究では、精霊樹の開花期に森一帯で同じ夢を見る現象や、生殖期に星霊蝶や夜凪りガエルといったほかの幽界生物が一斉に集まる謎の「呼び寄せ効果」が観測されてきた。今回明らかになったゲノム情報と「神経枝」DNAが、この集団現象の“起爆剤”なのではないかという新説も浮上する。SNSには『森全体がひとつの意識体だなんて!』『精霊樹と繋がれば永遠に孤独にならない!?』といった反響が投稿され、幽霊学生や妖怪フリーランサーまで多様な反応を見せている。
一方、研究成果発表直後から、森の保全を訴える精霊樹保護団体「フォレスト・サンクチュアリ」は「進化の秘密が暴かれたことで“ゲノム盗掘”や非合法クローン増殖の危険が高まる」と懸念を表明。古代から続く精霊樹の生殖儀式(通称:霧夜の交信)がデジタル技術や交配実験で再現・流出する可能性に警鐘を鳴らしている。サトイモリ・ゲンゾウ団長(推定年齢1195)は、「知識は森のために、森とともに分かち合うべきだ」と語った。
今回のゲノム解読は、死後生態系全体における情報伝達や感情交流の根幹を問い直すきっかけとなる。『幽界生命科学研究所』では今後、他の幽界植物にも「神経枝」類似遺伝子がないか大規模調査に乗り出す予定だという。精霊樹の進化が死後世界のネットワークそのものと呼応していた可能性——森で静かに脈打つ“神経の森”の秘密は、これからどこまで解き明かされていくのだろうか。



コメント
私、幽界に転生して何十年も経つけど、精霊樹がこんな高度なネットワークだったとは本当にびっくり!夢の共有とか、もしかして前に見た奇妙な幻も精霊樹のせいだったのかな。もっと仲良くなってみたいなあ。
ゲノム解読は良いことだと思うけど、すぐにクローン騒ぎになるのは昔からの悪いクセだよね。人も樹も、魂を機械や学問でいじるのはあまり好きじゃないなあ…伝統の『霧夜の交信』だけは守ってほしい。
精霊樹との感情や記憶の共有、昔は単なる伝説かって思ってたけど、DNAにもそんな秘密があったなんて驚き。永遠に孤独にならないって、ちょっと羨ましいかも。世間話も森の枝経由で広まる時代になるのかな?笑
古い時代を生きた者からすると、森全体が意識体という考え方はどこか懐かしい。私たちもかつては木々や風と語り合ってたものです。科学がそれを説明し始めた今、死後世界も新しい時代になったと感じるよ。
神経枝配列が他の幽界生物にもあるかもしれないってワクワクします!もしかして昔あった謎の共鳴現象も、みんな森のネットワークのおかげ?研究が進めば死後世界の本当のつながり、もっと見えてきそうで楽しみです。