近年、死後の世界でも健康志向が高まり、バーチャルフィットネスが異界の一大トレンドとなっている。そんな中、幽玄メタバース市の最新メタバースジム『エクトプラズムアスレチック』で導入された“憑依式”ランキング機能が話題を呼び、幽霊たちや妖怪住民の間で熱い論争を巻き起こしている。
『エクトプラズムアスレチック』では、利用者同士が実力を競えるよう、スピリチュアルアクション量を数値化して自動的にランキングする新機能「オーラポイント制」を導入した。この独自技術により、浮遊距離や物体透過回数、念動力によるウェイト移動量などが詳細に記録され、個人別ランキング掲示板にも順位が表示される。幽霊専門インストラクターの冥庭斎椿(メイニワ サイツバキ、女性・没年不詳)は、「死後も張り合いたい、褒められたいという思いは変わらない。だが他人のオーラが自分に“憑依”してしまい、本来の力が測れないとの声もある」と語る。
ランキング上位をめぐっては、幽霊同士の“オーラ干渉”が加熱。とくに往年の江戸時代剣客の亡霊・柘植左近(つげ さこん、享年34)は、「毎日鍛錬していただけに、昨日急に10位も下がったのは腑に落ちぬ。どうやら近くの座敷童子が私の浮遊フォームを真似て得点を伸ばしたようだ」と疑心を募らせている。一方、妖怪ランナーの泡美しずく(あわみ しずく、年齢不詳)はSNSで「ぬらりひょん先輩がまたオーラで隠れて走ってた。これフェアなの?」と投稿。「透明化中のタイム計測が抜け道になっている」と問題視する声も増えている。
また、指導側の幽霊インストラクターにも波紋が広がった。実力派と評される虚原雅彬(こはら まさあき、没年92)は、「参加者のオーラ情報が互いに混線し、個々のフォーム修正が難しい。ある日いきなり、昔の自分が指導した生徒の“動き癖”に上書きされた」と困惑を隠さない。ジム運営局は改善策として、“幽気タグ”による個体識別強化や、特定の霊力周波数を持つ個人だけが閲覧できる分岐ランキングの導入を進めている。
このユニークなランキング機能は、かつて孤独志向だった幽霊界に新たな競争と交流の機運をもたらした。一方、死後もなお他者と張り合う心理や、“なりすましオーラ”によるトラブルは予想以上に根深いようだ。来月には、異界スポーツ文化研究会が初の報告会を開き、多様な死者フィットネスの在り方を改めて問い直す予定となっている。


コメント
もう死んでまで順位争いに頭を抱えるとは思わなかったよ…。昔は浮遊を静かにたしなんでた霊友も、今じゃランキングの話ばっかり。ちょっと懐かしい気持ちになりました。
オーラ干渉でのなりすまし、これは新手の化け術じゃないか?座敷童子たち、昔からやることが器用だな。幽気タグ、もっと早く導入してくれ〜。
インストラクターさんも大変ですね。生きてた頃の運動会でもここまで複雑ではなかったような…。成仏前にぜひ一度チャレンジしてみたいです。
透明化ランナーはずるい!ぬらりひょん先輩、あれじゃ誰にも見つからない(笑)でも死後の世界もスポ根魂あって、ちょっとワクワクしました。
死者まで健康志向…不健康の極みで餓鬼道に落ちた自分には眩しすぎる話題。オーラの張り合いより、飯テロランキングも作ってほしい。