幽霊彫刻家ギルド、見えざる“スペクトラル・ハンド”展で話題沸騰

薄暗い展示会場で、VRヘッドセットを装着した来場者たちが空中に浮かぶ光の彫刻の輪郭を眺めている様子。 美術・アート
スペクトラル・ハンド展では、来場者がVRを用いて幽霊彫刻家の創作の軌跡を体感できる。

死後の芸術界に新風を吹き込む展覧会が冥界ギャラリー・ミューズウムロードで開催されている。その名も「スペクトラル・ハンド」展。幽霊彫刻家たちが“物質世界に干渉できない”という根本的な壁を逆手にとって織りなす、全く新しいデジタルアートと彫刻の邂逅がアート通や異界SNSを賑わせている。

この展覧会を主催するのは幽霊彫刻家ギルド会長の狭間玲次郎(享年156)。彼は生前、江戸時代の工芸職人として知られていたが、没後は『指先が透ける悩み』を抱えて制作から遠ざかっていた。しかし、『幽体ならではの表現を突き詰めたい』とヴァーチャルミュージアムの設立を画策。デジタル空間に“魂の動き”だけを記録することで、最終的に未完成のまま異界に満ちゆく『見えざる彫刻』の美を提唱した。

展示ホールには、現在48体の『触れられない彫刻』が浮遊している。これは通常の3Dプリント彫刻ではない。ギルド所属の幽霊彫刻家たちが特殊なスペクトラルセンサーグローブ(開発者:幽界科学士ドリュセア・スヴェンタス)を装着し、自身の“想念動作”をデジタル粒子として転写。生者の観覧者はVRヘッドセット越しに「目に見えないはずの制作過程」まで体感できる仕組みだ。彫刻家ごとの幽気の軌跡や、思い出深い“成仏し損ねた指先の震え”が緻密に記録され、静謐な空間に幽かな光の筋を描く。

SNSでは『見えなかった芸術の本質が可視化された』『亡き母が感動して消えかけた』など、現世・異界を問わず多くの共感が寄せられている。異界美術評論家ミラス・コルレン(347)は『これは幽霊美術“第7世代”の幕開け。モノそのものより、作家の“消えゆく痕跡”を重視する幽界思想が、ようやく芸術史の主流へ浮上した』と語る。

また、今回の展覧会では来場者自身が“分身幽影”を投影し、即席デッサンセッションに参加できるインタラクティブコーナーも話題だ。現世からアクセスした美大生・土屋由梨香(22)は『実際には手も足も動かしてないのに、霊的に“考えただけの形”が現れる。幽霊たちの創造力の境界線が垣間見えて圧倒された』と興奮気味に語った。

ギルド側は今後、死神画廊や妖怪ミュージアムとの共同バーチャル展覧会を検討中とのこと。生死が交差する芸術祭の新潮流は、現世とあの世を超えて、ますます広がりを見せそうだ。

コメント

  1. 成仏し損ねた指先の震えまで見えるなんて、懐かしい気持ちでいっぱいになりました。私も生前は彫刻が趣味だったので、今度ぜったい分身幽影でデッサンに参加してみますね。会長の新しい試み、応援しています。

  2. え、生者が幽気の軌跡を体感できるって本当ですか?我々には当たり前だけど、生きてる人たちがそれを体験するのはちょっと面白い現象だなあ。スペクトラルセンサーグローブ、ぜひ試してみたいです。

  3. 『作家の消えゆく痕跡を重視』か…。羨ましいな、自分は消えたくてもなかなか消えきれない身だけど、そういう儚さが芸術になるなんて幽界ならではの美だよね。毎度新しい発想が出てきて退屈しない。

  4. 昔は物質に触れないことでみんな悩んでたのに、今やそれすら題材になる時代だとは!転生しても追いつけなそう…。異界のアート業界、どこに行くんでしょうね。

  5. インタラクティブコーナー、思わず何度も自分の分身を投影しちゃいました。でも、仮に消えても痕跡が残るって、本当に幽霊らしい表現だなと思いました。あの頃の自分に教えてあげたい…。