幽世中央議会は13日未明、大規模な憲法改正の動議を発表し、死後の世界の秩序を揺るがす前例なき政治的騒動が巻き起こっている。内閣主導による現行憲法の修正案には、“霞の集団的自衛権”や“三権分立の相互魔力牽制”など生前世界とは一線を画す条項が盛り込まれており、調査機関ユレカ総研の最新世論調査では「あの世とこの世のパワーバランスはどうなるのか」と幽霊市民の8割が懸念の声を上げている。
内閣を率いる菊代ミツル首相(享年56)は、「幽霊市民の安心と異界妖怪との共生を柱とした改正が必要」と明言。新内閣が昨月緊急招集した“総魂(そうこん)会議”では、現行憲法第六条に織り込まれた“魂の越境規定”を見直し、幽世の領域防衛に集団的自衛権を認める案を盛り込んだ。会議には、狐面党代表の狐崎チロリ議員(陰暦年齢推定300歳)や閻魔法廷の冥判事らあの世各層の代表者が集結し、徹夜の論戦となった。
注目を集めたのは、司法を代表する幽霊判事派と、立法府の多数を握る妖怪議員派による深夜の“無音討論”である。幽霊判事派の白霧モヨ人民判事(享年42)は「魂の独立性を守るため、内閣による法令改変には厳密な三権分立の遵守が必要」と指摘。一方で、蝙蝠党の影坂ベンゾウ議員(吸血鬼・145歳)は「妖怪住民と精霊マイノリティの共存安全保障を形骸化すべきではない」と強調し、魂と肉体を持たぬ者の権利拡張にも譲らない構えを見せた。
今回の修正案には、従来の“魂の無干渉”原則に加えて新たに『結界内集団的自衛権』の規定案が含まれており、霊的境界線の再定義や他界からの“超常干渉”に対する国会承認手続きが明文化される計画だ。内閣は、先週国会に提出した本改正案の議決方法として“多層次元多数決方式”を導入すると発表。これは幽霊、妖怪、精霊、市民全層の票を同等に扱うため、「投票箱が無限に分裂するのでは」とネット上でも議論を呼んでいる。
SNS上の声にも注目が集まる。鬼門町在住の死神補佐官・御堂カガチ(113歳)は「魂差別の火種にならぬよう、慎重な議論を望む」と投稿。逆に浮き世村の顔無し市民(年齢不詳)は「三権分立のバランスは斬新だが、“幽界パスポート”への影響も心配」とコメントし、多様な立場で賛否が交錯している。今後は、幽世国会で修正案詳細の審議が続く見通しだが、最多与党“冥土再生党”の思惑や世論動向次第では、時空を超えた憲法史上最大の“異界改憲”となる可能性も指摘されている。


コメント
魂の越境規定を見直すだなんて、転生組としては気が気じゃありませんよ。何度も国境をまたいできた身としては、これ以上の結界が強まるのはちょっと窮屈。生前世界との繋がりが断たれないよう祈ってます。
久しぶりに魂全層を巻き込む真剣な論議ですね!三権分立って、生きてたときもよく耳にしたけど、幽界だと魔力牽制が加わるのがおもしろい。妖怪議員派がここまで強気なのは珍しくてワクワクします。
三権分立もいいですが、案外うやむやにされて終わるのでは?幽世政治の騒乱は何度も見てきたので、また“無音討論”のまま成仏する議題じゃないか心配。そろそろ本当に市民の声が届く憲法にしてほしいものです。