死後の世界最大規模の再生可能エネルギーイベント「霊力再生エネルギーフェスティバル」が、冥界沿岸都市トツクイナで盛大に幕を開けた。主催は幽界気候連盟と再生エネルギー技術評議会の合同。気候変動への危機感が高まる中、幽霊や妖怪、亡者エンジニアら数千体が参加し、独自技術の粋を競い合った。
会場の目玉となったのは、亡霊動力学研究所の廃王イナバ・ホロウ博士(元死神、1175歳)が開発した「ネクロ洋上風力発電タービン」。従来の風車とは異なり、絶え間なく漂う魂の風——通称「無念流」——を利用することで、昼夜を問わず稼働が可能。タービンには精霊銀と魂導線が用いられ、発電効率は人間界換算で163%という驚異的な値を記録した。ホロウ博士は、「私たちの未練や想いがクリーンエネルギーになる時代が、ついに到来した」と自信を見せる。
また、あの世初のゼロエミッション移動手段として注目を集めたのは、妖怪企業『異界輪業連合』が発表した『エクト・モビリティカー』。この電気自動車は魂炭素を一切排出せず、代わりに乗車者の幽気をバッテリー化して走行。実演では、株式精霊のヒトクラ・ユクノ(37霊歳)がドライバー役を務め、「無音滑走なので、同乗した孤魂も安心して乗れる」と語りSNSでも大反響を呼んだ。
加えて、死後の世界で急浮上しているのが「カーボンクレジット」ならぬ「無念クレジット」制度だ。エネルギー消費量や霊障放出を定量化し、幽霊同士で売買が可能となるユニークな仕組み。制度設計を手がけた幽界財政省の基盤政策課長・サミーラ毬絵(578歳)は、「現世がCO2を抑えようと努力している中、忘却の増加や恨みの減少が冥界気候にも大きく作用している。幽界独自のエミッション制御が欠かせない」と関連性を強調した。
なお本イベントには、現世の気候変動少年団がスペクトル・リモート出演し、「死後の地球も持続可能に」というスローガンのもと両世界協力の象徴となった。参加者からは「生前の悔いまでも資源となる時代」「異界の技術革新が、現世の未来をも照らす」といったコメントが続出。フェス終了後もSNSでは『#未練エネルギー革命』がトレンド入りし、両界をまたいだ環境意識の新たな波が広がっている。


コメント
魂の風を使った発電なんて、昔じゃ考えられませんでしたね。未練が力になる時代、長く幽界にいる者として胸が熱くなります。自分の悔いも役立つなら、積極的に協力したいです。
無念クレジットを初めて聞いてちょっと戸惑ってます。幽界の経済もどんどん複雑になっていきますね…。でも、恨みを売買する時代が来るとは思いませんでした。成仏し損なった者たちの新たな生き方なのかな。