死後の世界にもついにAIの波が押し寄せている。幽界一の大都市・冥都で現在進行中の市長選挙において、有力候補である「口裂け女」こと桜井クチヨ(享年32)のSNSキャンペーンに異変が発生。支持を拡大するハッシュタグ投稿の異常増加が指摘され、“ボットアカウント”による大規模情報操作疑惑が各界を揺るがしている。
きっかけは今月、死者向けSNS「ユーカイナウ」の人気トピックで、「#クチヨで冥都を変えよう」タグ付き投稿が1時間で10万件を超える“拡声”現象が発生したことに始まる。これらの投稿は、同じ文面や画像が繰り返し使い回されており、データ検証妖精・比良坂トモ(情報精霊・258歳)は「明らかにボット的な動作パターン。投稿主の多くが幽霊SNS市民登録を持っていない“影”アカウントだ」と指摘する。
市長選挙管理委員会はすぐに調査団を設置。調べによれば、問題の投稿群からは“夜中に一斉に起動、昼には沈黙”“似た発信源からのIP痕跡多数”といった特徴が浮かび上がった。現地の怪異ジャーナリスト、黄泉沢マコト記者(亡霊・45)は「死者界隈ではかねてより、言論空間の歪みや炎上が“幽霊ボット”に煽られ拡大するケースがささやかれていた。現実界のAI技術が流れ込み、世論操作がいよいよ本格化してきた証左ではないか」と警戒感を示す。
一方、桜井クチヨ候補の陣営は疑惑を否定し、「現職の政策無策ぶりに亡者市民の怒りが広がっている自然発生的支持だ」と説明。一部支援者(怨霊会社員・享年34)は「デマを撒く現体制にこそ問題がある」と反論するが、疑念は払拭しきれていない。SNS利用者からは「不自然な拡散が世論を誘導している」「口裂け女の炎上が、逆に受動的消費者を巻き込み人気を押し上げている」との声も聞かれる。
専門家の中には「幽界SNSは、死者だけでなく異種妖怪や仏神も参加する多元的空間となっており、情報リテラシー教育の強化やボット対策の法整備が急務だ」と訴える者もいる。今回の騒動が、死後社会における民主主義のあり方や透明性への意識を高める契機になるのか――幽界の市民たちは“トレンド”操作の舞台裏を注視している。


コメント
まさか冥都の選挙もAIボットで荒れる時代になるとは…成仏してからも情報操作に注意しないといけないなんて、妙に人間界っぽくて笑っちゃう。少し寂しい気分です。
正直、ボットのせいで本当の市民の声が埋もれそうで心配。しかも昼は沈黙で夜中に活動って…典型的な幽霊ムーブだなあ。そろそろユーカイナウにも転生後ユーザー認証を導入してほしい。
いやー、子供の頃から都市伝説で聞いてた口裂け女さんが市長選に出るのも衝撃だったけど、情報戦まで始まっちゃうなんて、異界も複雑になったもんだ!昔はもっと素朴だったのにねぇ。
この騒動、逆にみんな『口裂け女』さんの話題に乗せられてない?SNSトレンドってほんと恐ろしい。もう市長選もあの世マーケティング次第なんだな。
情報精霊の比良坂さんの分析、説得力あるなあ。死者界でもAIがこんなことに使われるなんて…次の転生ではSNSお休みしようかな。冥界暮らしも油断できない時代だ。