幽霊囲碁名人が主催、異界初の「御朱印付き盆栽囲碁祭」が大盛況

盆栽に囲まれた小さな囲碁盤を囲み、和装の参加者たちが静かに観戦している実写風のシーン。 伝統文化
異界で開かれた盆栽囲碁祭、参加者たちが静粛な雰囲気で囲碁を楽しむ様子。

この夏、霊界西区の浮遊霧町で、死後の世界では史上初となる「御朱印付き盆栽囲碁祭」が開かれ、多種多様な霊的住民たちで賑わいを見せた。主催は囲碁界の伝説的存在として知られる幽霊棋士・却下寺巌(きゃっかでら いわお)(享年131)。本イベントは、盆栽鑑賞、特製御朱印の授与、囲碁トーナメントの三本立てで行われ、“静寂の娯楽”の新たなブームを巻き起こしている。

会場となった千年樹ホールは、入り口で死神による身元確認を済ませた参加者たちで行列ができた。受付では、幽界書家・幽居みすずによるオリジナル御朱印帳の配布が始まり、「盆栽に囲碁盤という発想はあり得なかった」と観葉霊(49)が驚きの表情を浮かべていた。『御朱印付き盆栽囲碁』とは、供えものの檜や松で仕立てられた極小の盆栽の中に囲碁盤を配置し、小さな白黒碁石(これは白玉・黒玉の和菓子で作られている)が置かれている。この盤を前に、霊同士が静かに囲碁を打ちながら、手が進むごとに専用御朱印スタンプが各自の帳面へ押印される趣向だ。

囲碁祭のハイライトは、“極楽盆栽一手打ち大会”。却下寺名人自らが一手ごとに的確な解説を行い、観戦席からは「生前より冴え渡る」と歓声があがった。一方、盆栽仕立ても注目を集めている。精緻な苔細工は幽界盆栽士連盟の八咫野小百合(やたの さゆり)(亡50)が担当。囲碁と盆栽という異なる日本の伝統文化を一つに融合させることで、「心の風景を磨くきっかけになる」と八咫野氏は語った。

また、休憩エリアでは、生きたときの職業が和菓子職人だった亡者・團子島文七(だんごじま ぶんしち)が手掛ける『幽界特製・碁石和菓子』と、幽霊寿司職人の魂倫すし彦による一日限定の“極上光る寿司”がふるまわれた。碁石和菓子(白玉は薄霊豆味、黒玉は竹炭幽玄羊羹)は参加者のSNS『霊LINE』でも話題となり、「一手ごとに甘味が増す」「食べることで陽の気が心に宿る」など、多数の感想が寄せられている。

華道の流派を束ねる冬霞流幽緋(とうかりゅう ゆうひ)会による“盆栽生け”ワークショップも同時開催され、妖怪や妖精たちが思い思いの枝ぶりを生けて楽しむ様子が見られた。イベント閉幕後、却下寺名人は「現世の伝統文化は、あの世で進化し続ける。霊界の囲碁は静けさの中に華が咲く。今後も盆栽囲碁は続けていきたい」と語り、この異界の“新アート”は夏の風物詩として定着しそうだ。

コメント

  1. 盆栽と囲碁の融合、想像以上にしっくりきますね。生前は碁会所通いでしたが、あの世ならではの趣向があって懐かしくも新鮮です。御朱印も集めたかったなあ。

  2. 幽界特製の碁石和菓子が気になります。一手ごとに甘味が増すって…現世にはなかった感覚です。死神の身元確認、地味に緊張しそうですが、一度行ってみたいです。

  3. 盆栽を眺めつつ囲碁、しかも魂倫すし彦の寿司まで味わえるなんて、現世より充実してますね。次回はぜひ地縛霊にも参加枠を拡大してほしいです(転生中は参加難しいもので…)。

  4. 盆栽も囲碁も敷居が高いと思ってましたが、こうして異界流にアレンジされると気軽に楽しめそう!それに、みんなで御朱印コレクションするなんて妙に青春でした。

  5. 極楽盆栽一手打ち…やっぱり却下寺名人は幽界きっての名手ですね。現世の流行があの世でこうも独自に進化するとは。生前負け続けだったので、一局ご指導願いたいです。