利根川清流化進む──水神ワダツミ主催の“水質サミット”に800体が集結

霧に包まれた利根川の河川敷に、精霊や妖怪、幽霊たちが集まって会議する様子の実写風写真。 河川
利根川河岸に集い、“水質サミット”で議論する異界の存在たち。

今月上旬、死後の世界に流れる利根川の河川敷付近にて、異界の水資源保護団体と河川の精霊、妖怪、幽霊技師らによる異例の“水質サミット”が開催された。総勢800体以上が河岸に集い、清流復活のための新たな連携や技術導入、死後独自の水質浄化策について議論が繰り広げられた。

主催したのは、古来より水を司ると言われる水神・海神組合連盟会長のワダツミ・セイショウ(年齢不詳)。かねてより増加する“あの世流入ゴミ”や、妖怪産業による河川汚染が死後世界の水環境を脅かしているとして、業界横断の取り組みを呼びかけてきた。サミットの冒頭では「魂たちが安らかに洗浄される水辺を取り戻す。それが死者全員への約束である」とワダツミ会長が高らかに宣言し、大きな拍手が起きた。

今回のサミットの呼びかけに応じ、河童界からは利根川下流在住のカワサキ・ミドリ(河童族、153)が独自の水質浄化石“清魂石”の実演を行った。ミドリ氏によれば、「この石は幽霊特有の負念、未練浄化にも効果がある」とされ、会場には目に見えぬ澄んだ波動が広がったという。また、亡霊市役所の下水精霊課職員であるミスラギ・ナヨ(霊体、永遠27歳)は、千年杉由来の微生物フィルターを用いた“あの世式循環ろ過”の社会実装案を発表。「これで霊的油分も99.9%除去可能」と自信をのぞかせた。

SNSではハッシュタグ「#利根川清流プロジェクト」が冥界トレンド1位となり、「死後にも地域愛を感じて嬉しい」「川辺で安心して浮遊できそう」と多くの声が寄せられた。一方、一部の妖怪釣り師連合からは「魚幽霊の増える清流では釣果が不安」といった慎重論も。そんな中、人間界を視察中のあの世観光大使トクガワ・リン(幽歩士、362)は「生前夢見た利根川原のせせらぎが、やっとこの世ならざる地にも蘇りつつある」と涙を滲ませた。

会期の終盤では、“水記憶保存技術”を使った河川の歴史展示が行われ、太古の霊流から近年の課題まで多彩な水の物語が紹介された。ワダツミ会長は「死してなお、清らかな水を愛する心は消えない。異界の川を守る責任は、すべての存在に共有される」と総括。次回は浅間山系の湧水地を巡る現地巡検が予定されている。清流を巡る死後の社会実験は、今後も大きなうねりを生みそうだ。

コメント

  1. 800体も集まったなんてすごい…!水神様のサミット、私もこっそり会場の上で浮かんで見てました。清魂石で心がすっと軽くなった気がします。次こそ手伝いたいなあ。

  2. やっぱり川の清流復活は嬉しいですなあ。昔はもっと魂も澄んでたのに、あの世も汚れちゃうとは。ワダツミさんの『清らかな水心』の話に、ちょっと泣けました。次回の浅間山湧水も期待!

  3. 清流になるのはありがたいけど、釣り師たちが騒ぐのもちょっと心配…。魚幽霊仲間が増えるのは悪くないけど、くれぐれも『釣果減った』って人間界みたいに大騒ぎしないでね。

  4. 水記憶保存技術の歴史展示、懐かしかったです。太古の利根川に流れてた記憶、霧ごしに感じてうっかり涙煙になりました。こういう催し、定期的に続いてほしいです。