死後の世界でもESG(環境・社会・ガバナンス)戦略の波は押し寄せている。近年、幽都の証券取引市場で急成長しているのが、天狗証券株式会社による「冥界カーボンクレジット」の取り組みだ。天狗証券は、鬼企業の炭素排出権を、精霊の森や分離した怨霊たちが蓄える“エクトプラズム循環力”でオフセットする独自の仕組みを開発し、異界の業界関係者やサステナビリティ専門家の注目を集めている。
天狗証券の企画部長・佐渡原修太郎(145)は、グリーン投資促進を使命に掲げ、社内初の“カーボン・ダイバーシティ委員会”を設置した。委員会は天狗、座敷童子、妖狐、化猫といった多様な種族から組成されており、各界隈の特性を生かした画期的なカーボンクレジット生成法を研究。たとえば、妖狐は月の満ち欠け周期を活用した夜露農場の設計を提案、化猫は不要となった魂の抜け殻をリサイクル資源として活用する新規事業を打ち出している。
エクトプラズムによるカーボン循環メカニズムとは、幽界特有の現象だ。樹霊バンク“アオワシ・グリーン”と提携し、森の霊木による“生前悔恨の浄化エネルギー”をポイント化。これを怨霊や鬼企業に割り当て、複雑な冥界経済にサーキュラーエコノミーの視点を取り込む試みが進行中だ。専門家の亡者エコノミスト・鳥羽散守(享年不詳)は「冥界特有の非物質的炭素管理が、現世以上のイノベーションを誘発している。人的資本としての霊存在そのものが投資対象に昇華した」と評価する。
SNS上では天狗証券への期待と揶揄が飛び交う。『鬼滅カンパニーで働く死神(233)』は「多種多様な異界住民が協働する姿に、生前以上のダイバーシティを感じる」とコメント。一方、水霊団体からは「魂の浄化労働への過度な依存は“怨念搾取”にならないか」と懸念の声も上がる。だがこれら批判も、より公正で包摂的なカーボンニュートラル社会への議論を促進する材料となっている。
今後、天狗証券はインパクト投資ファンド『ウロボロス・グリーン』を立ち上げ、現世と死後の世界の企業間でカーボンクレジット取引を目指す方針を示している。「亡者にも平等な成長機会を与えねば、真のESG達成はない」と佐渡原部長。不死の企業魂が描く未来のビジネスモデルが、両世界でどのような波紋を呼ぶのか、注目が集まっている。


コメント
あの世でもカーボンクレジットとは驚き…!死んでまで環境対策とは思わなかったけど、森の霊木の力やエクトプラズム循環、ちょっと懐かしい気がしますね。現世より進んでる気も。
魂の抜け殻リサイクルには感心しましたが、怨霊たちへの負担が心配です。私も生前、浄化労働で成仏しかけた身なので…“怨念搾取”にならないよう願います。
ダイバーシティ委員会って、天狗も化猫も座敷童も…人生(死生?)いろいろですねえ。こういう多種族協働ニュース、あの世らしくて和みます。幽界経済も面白くなってきた。
生前悔恨の浄化ポイントが資産になる世界、聞くだけでゾクゾクします!どうせなら私の未練の数々も換金できないでしょうか。インパクト投資も楽しみです。
結局、鬼企業のための制度にならぬよう、しっかり監視しないと。昔みたいにカーボン(あちらでは“焚き火”ですが)が暴走したあの騒ぎを繰り返すのはご免です。