異界の伝統企業・座敷童子商会が、毎月の満月夜に全社員対象の“月光浴ウェルビーイング・プロジェクト”を導入し、従業員満足度と業務効率向上に新風を吹き込んでいる。難航するリモートワーク下でのコミュニケーション課題や、働き方改革への対応が求められる中、死後社会らしい発想で話題を呼んでいる。
座敷童子商会は、あの世とこの世を結ぶ伝統的なお守り卸業として知られる。一方、ここ数年は社員たちの“気配ストレス”や“存在感疲弊症候群”など、他界独特のメンタルヘルス不調が深刻化。社内に漂う鬱雲を払うため、人事部長の胡桃田千夜(くるみだ ちよ、永遠27歳)は満月のエネルギーを活用した新制度を企画した。
新プロジェクトの目玉は「月光浴会議」と呼ばれる月夜の全社ミーティングだ。会議は地上からの騒音が届かない雲上オフィスと、各社員の自宅“座敷”を結ぶリモート形式で行われ、社員一人ひとりが月明かりを浴びつつ発言するしくみだ。社員の栗柿文太郎(くりがき ぶんたろう、139歳)は「月光の下での会議は頭が冴え、あの世でも斬新な意見が飛び交う。ふだん“うっすら”しか実体化しない同僚も、輪郭くっきりで活発になった」と語る。
この取り組みは死後版SDGsを掲げる若手座敷童子たちにも好評で、“月光エネルギーの有効活用”や“幻影ゴミゼロ運動”といったサステナブル施策への意識改革も同時に進行している。SNSでは、「今夜も#月光浴会議でモヤモヤ脱却!」と盛り上がりを見せ、異界他社からも「生前より働きやすそう」と羨望の声が上がる。
専門家の百目鬼夜紀(どうめき やき、死後産業ウェルビーイング研究家)は「死後社会特有の脆いうつろい性はコミュニケーションの課題とも言えるが、自然との共存や超常的リズムを経営に取り入れることで、心理的報酬の質が格段に向上する」とコメント。「月光浴会議」が新たな“あの世型働き方改革”のロールモデルとなるか、他社の動向も注目されている。
なお、満月当日の午後は“気配休暇”が推奨されており、社員は好きな場所で透明化したままリフレッシュが許可される。胡桃田部長は「幽かな存在同士の支え合いが、本当のウェルビーイング経営」と力を込めた。次回新月には“闇夜サイレントワーク”導入も検討中だという。


コメント
満月浴びながらの会議、昔のお屋敷時代を思い出して懐かしいです。あの頃はお月さまとお話ししながら相談してましたから。現代風のアレンジも良いですね~。
まさか転生後にまで“働き方改革”を迫られるとは…と思ってたけど、月光浴会議ならちょっと参加してみたいかも。存在感疲弊症候群、最近身に覚えあるし(笑)
幽界の企業がSDGsを意識する時代か…。生前IT企業勤めだったけど、こちらの方がよっぽどウェルビーイングしてるの羨ましい。当社も幻影ゴミゼロ運動、参考にします!
雲上オフィスなんて粋ですねえ。地上の騒がしさや人間の雑念から解放されて、ゆっくり会議なんて理想です。気配休暇の制度も、さすが座敷童子商会……。