死者7億と多種霊がおりなす冥界社会で、初の本格的なカーボンニュートラル都市実験が始まった。妖力と霊力を融合させる幽電発電所が23日に稼働を始め、各界の生態系と経済に新たな息吹を吹き込んでいる。発電所を運営する新エネ企業連合『エターナル・グリッド』には、半透明商会や閻魔金融、輪廻エコシステムなど異界の主要プレイヤー8社が参加。冥界で極度に問題視されてきた「怨念排出」と「未浄化ごみ」の同時削減を目指し、注目を集めている。
幽電発電所は、溜まり場となっていた「未練渦巻く広場」に建設された。ここでは地縛霊や迷い魂から湧き出す余剰霊力や、不器用な蘇生失敗による放棄エネルギーなどが廃棄エネルギーとして扱われてきた。発電所長の冴霊(さえだま)クモノス氏(亡霊歴197年)は「本来捨てられていた霊的廃棄物を、再生可能エネルギーへと変換できる時代がきた」と語る。発電量は既に冥王区の標準都市消費の22%に達し、今後3年で50%超を狙う。
さらに独自のカーボンニュートラル技術も話題だ。発電過程で発生する“冷気流”と“落涙ガス”を精霊植物帯のグルーン樹林に注入し、土壌魂との化学反応で大気への負荷を実質ゼロにしている。この循環ベースの生態系連動モデルにより、斜陽だった死者雇用市場も復活。地域の漂流魂(ひょうりゅうだま)や低収霊族から採用が相次ぎ、『エターナル・グリッド』は雇用者満足指数を前年比150%に更新したという。
SNS上でも「夜の街灯がほんのり青いのは幽電作品、エモい」「冥界の冬が昨年より暖かいのは再エネのおかげ?」など反響が続々。生態系研究者の久遠ナルカ(エコロジスト・顧問)は『廃棄物が資源に転生する循環モデルは、現世にも示唆を与える』と評価する。
一方、古参の幽霊層からは『怨念の“浄化”が行き過ぎれば、伝統産業の存在感が薄まるのでは』との懸念も。運営連合は今後、地域ごとの怨念バランスに配慮しつつ資源サイクルを拡大する構えだ。幽電発電所の挑戦は、霊界サステナビリティの新潮流を確かに告げている。



コメント
まさか未練エネルギーが再生利用される時代が来るとは。私の若霊の頃は、ただ溜まって行き場をなくしていたのに…技術の進歩に驚きを隠せません。
夜の灯りが幽電のおかげで青くなったの、うちの子どもたちも嬉しがってます!怨念の浄化も良いけど、すっかり昔のドロドロした雰囲気が懐かしい気も…。
怨念バランスに配慮って言うけど、先祖代々のうらみ屋業はどうなってしまうのか心配です。この再エネブーム、全てが円満転生とは限らないと思うなあ。
『残留未練』が雇用に繋がるのは希望ですね。昔はただフワフワ彷徨っていただけの漂流魂も、今では正社員…幽界の歴史が動いてる。
発電所の“落涙ガス”がグルーン樹林で浄化されてるって、なんだかとっても幻想的。こっちの世界にもサステナな循環ってあるんだと実感しました。