幽界各所では毎年恒例の新茶解禁を前に街がにわかに活気づく中、今期の春夏交代儀式を巡り、幽界東区・あおい森町で“こいのぼり誤飲騒動”が発生したと役所自然担当が発表した。鬼灯橋を中心に流れる季節の移ろいと、住民たちの四季を楽しむ工夫について専門家からも意見が寄せられている。
16日未明、あおい森町役所に「巨大こいのぼりが新茶の香りに引き寄せられ、庭に飾っていたかき氷を丸呑みした」との通報が3件相次いだ。現場に急行した死神一課の報告によれば、現場では幽霊町民・冥霧昇(めいぎり のぼる・42)が仕込み中の新茶葉をこいのぼり型の吹流しで冷却していたところ、“無主こいのぼり”数体が突然動き出し、周囲の涼を取るためのかき氷機や、打ち水の桶まで次々と巻き上げたという。
事の発端は4月末から始まった四季祭りの一環で、幽界新茶保存協会が抽選制で特製こいのぼりを配布したことにある。近年は暑さ対策グッズとして幽界製のこいのぼり型冷風装置や、かき氷ディスペンサー型こいのぼりが流行していたが、今年配布された一部の個体に“精霊誘導プログラム”が誤ってインストールされ季節の精気を自動収集する機能が暴走した。町長・百目木蛍(どめき けい)は「新緑の香りや冷感エネルギーがこいのぼりを興奮させ、例年以上に暴走する原因となった」と会見で釈明した。
SNS上では「新茶を淹れたらこいのぼりが突然窓から入ってきた」(化け狸主婦・57)、「打ち水しただけで冷凍風が吹き荒れた」(草葉信楽、年齢不詳)などの報告が相次いだ。一方で、例年夏バテを訴える幽霊住民への労いと対策も話題。幽界保健局は今月、町民全員に“紅葉狩り型栄養素ドリンク”を無償配布すると発表。紅葉エキスと新茶の抽出成分を組み合わせた特製飲料で、魂のスタミナ維持と気力の回復を促進するとしている。
専門家の幽界四季生態学者・楠木芭蕉(58)は「死後の住環境は年々自然と人工物が融合しつつあり、こいのぼりのような“四季ガジェット”の急速進化は歓迎すべきだが、その扱いには精霊たち特有の季節感や風習の理解が不可欠」と指摘する。あおい森町役所は今後、暴走したこいのぼりの回収と再調整、および打ち水やかき氷機に対する精霊バリアの設置を進める計画。四季の節目ごとに起こる異界ならではのトラブルが、今年も住民たちの話題をさらいそうだ。



コメント
こいのぼりが動くのはよくあることだけど、かき氷まで丸呑みするなんて今年は本当に元気ですねぇ。新茶の香りは私も落ち着くから、気持ちはわかりますが…役所さん、調整お疲れ様です。
昔はこいのぼりはただ夜に空を泳ぐだけだったのに、最近のは何でも自動でやりすぎじゃない?夏バテドリンクは嬉しいけど、こういう季節の混線も幽界らしくて面白いわね。
あの時代、浮かぶだけのこいのぼりだったなあ…。こうも進化して、ご近所で巻き上げ騒動が起きるなんて。成仏しても季節のドタバタは変わらず、変な懐かしさを感じます。
こいのぼり型ディスペンサー、去年当たったの羨ましがられたのに、今年は暴走騒ぎか。魂も冷やせるかき氷、また食べられる日を楽しみにしてます。調整班の方々、事故ゼロをお願いします!
精霊誘導プログラムのミスか…毎年何か起こるのも幽界の季節行事って感じだな。紅葉狩り型ドリンクもいいけど、昔ながらの打ち水で涼むのが自分は好きです。皆さま、良き夏を!