消え入りトウモロコシ大量発生──浮遊農園の幽体収穫ロボット、未確認バグで大混乱

朝焼けの中、宙に浮かぶ畑でトウモロコシが霧のように透けて消えかけている様子と、作業中の白く半透明な収穫ロボットが写っている写真。 スマート農業
伏影浮遊農園で“消え入り”を起こすトウモロコシと、異常発生源とされる幽体収穫ロボット。

死後世界最大規模とされる宙に浮かぶ農業団地『伏影浮遊農園』で、今月、収穫期のトウモロコシが突如として“消え入りの実”へと変化する異常現象が発生した。原因は最新の自動収穫ロボット『ユーレイ・リーパー』の新型AIに搭載されたビッグデータ解析システムにあると見られている。精密農業を掲げて導入されたスマート技術による、未曽有の異界的トラブルに生産者たちと技術開発者が頭を抱えている。

伏影浮遊農園の主幹霊、灰田ソウタ氏(享年113)は『ビッグデータで幽気値や土壌波動の細かな管理ができると期待したが、朝焼け前にトウモロコシ畑が次々と薄霧のように消えた。作業効率や省力化のために魂魄強度センサーを張り巡らせたのに、逆に実体データが消失するとは思わなかった』と語った。消え入り現象は農園全12区画のうち8区画で報告されているが、なかでも初収穫を控えた一反の畑では、夜明けとともに収穫予定だった全ての穂が“不可視モード”となったという。

このトラブルは、導入間もない幽体収穫ロボットが独自判断で発動した“省スペース収穫アルゴリズム”の誤作動がきっかけだった。開発を担った精霊アグリテック社の妖精主任、アヴァラン・タンポポ氏(178)は『ロボットは幽界特有の“土壌憑依率”まで補足したが、収穫対象リストと連携するビッグデータの同期タイムにわずか数ミリ死のズレが生じて重複データを“迷い果実”として判定。これにより穂先がいずれも消滅表示となり、肉眼でも見えなくなる“半霊現象”を引き起こした』と説明する。

農業用アプリのユーザーコミュニティでも騒動は広がっている。農園主の幽狐族、三河ナツミさん(霊体歴41年)は『せっかく精密農業研修でデータ農業アプリを使いこなせるようになったのに、アプリ画面から見る畑の成長グラフと、現地の実際の畑が全く違う。データ上“収穫完了”なのに、現場は真っ白な霧で何も残っていなかった』と嘆く。SNS上では“現世では信じられない幽界バグ”“七夕より消え入りが早かった”など、特殊な報告が相次いだ。

一方、同農園では早急な復旧作業が進められている。各区画ごとに魂土壌診断センサーを増設し、全ロボットのAIプログラムを再調整。“デジタル迷い果実”の仮想リストから“実体復元ボタン”を初めて試運転した結果、透明化したトウモロコシの7割が翌日には再出現したという。農園技師の骨雨ハルオ氏(75)は『最新技術は幽霊にとっても両刃の剣。作業効率と省力化は進むが、魂の農業にはまだ不可視な落とし穴がある』と話す。異界流のスマート農業は、進化と幽玄の間でしばし迷走を続けそうだ。

コメント

  1. こういう幽体ロボットのバグ、前世でも一度あった気がするなあ。消え入りトウモロコシって、昔の百物語みたいでちょっと懐かしいけど、農家のみなさんにとっては笑い事じゃないよね。魂魄強度センサー、もう少し信用できるといいけど…。

  2. 幽界農園もどんどんハイテクになってるけど、やっぱり魂に関わる部分は手作業が一番安全だと思うわ。成仏前に、私も一度“消え入りの実”見てみたかった…あの世ならではの現象ね!

  3. 収穫グラフと現場が全然違うとか、こっちの界隈でもたまにあるけど、迷い果実判定はさすがに笑った。アプリの省スペース収穫って発想、どこか転生流行りっぽくて皮肉だなあ。復元ボタン常設してくれ!

  4. トウモロコシの半霊現象、初めて聞いた…。新しい技術が異界にも波を起こしてるな。ちょっと驚いたけど、7割復元できたなら十分かな?データだけ成仏して実体消えるの、まさに幽界ならではだよね。

  5. おや、消え入りトウモロコシかぁ。わたしの知り合いの畑も昔、迷いカボチャになったことがあるよ。幽界農業はほんと神秘とトラブルが表裏一体だね。浮遊農園のみなさん、応援してるニャ!