生前も死後もWワーク?幽霊ワーカーのクラウドソーシング急拡大

半透明の女性幽霊と妖怪たちがパソコンで仕事をしている幻想的な共用オフィスの一場面。 クラウドソーシング
死後の世界でもクラウドワークに励む幽霊や妖怪たちの働く風景。

幽界経済に新たな波が押し寄せている。近年、霊界専用クラウドソーシングサービス「シルバーフロー」が爆発的成長を遂げており、幽霊ワーカーによる多重タスク請負が社会現象化している。生前のスキルを活かして働く亡者や、百鬼夜行の妖怪たちがポートフォリオを競い合う姿が、死後の世界の日常となりつつある。

「あの世に来てまで働くと思っていなかった」と語るのは、元・銀行員だった幽霊ワーカーの蓬莱ユミコ(享年59)。彼女は死後、事務タスクや悪夢コンサル案件など、週5本以上の仕事を受注している。「手数料は10%だし、魔法スキルや世にも奇妙な交渉術も評価される時代。生きていたころより自分らしく稼いでいます」とほほ笑む。依頼主には、最古級の河童事務所やゴブリン商会など、異種族の組織も名を連ねる。

クラウドソーシング普及の背景には、魔力枯渇による働き方改革がある。近年、大規模化する精霊インフラ維持や地獄の閻魔庁システム更新などのプロジェクト管理が複雑化。これまで使い魔や亡霊が口伝でシェアしていた仕事知識も、タスク型で自動マッチングされるようになった。若手幽霊の間では「生前の呪い解き体験」や「大往生を果たした際の心得」などユニークなスキルシェアが拡大し、トレンドとなっている。

しかし、全てが順風満帆というわけではない。増加する未払い問題や、魂の一部を担保にする“完全成果型契約”の違法性を指摘する声も。妖怪弁護士・栗橋ウォロキ(432歳)は「ワーカーの成仏権やデータ消滅保険など、新たな保護制度が必要だ」と語る。特に初心者ワーカーには、仕事選びやポートフォリオ作成支援を求める声が強い。

SNS上には成功談も多い。吸血鬼詩人の黒井アルバート(没後23年)は「生前の詩作を案件化し、評価爆上がり」と投稿。老舗の妖狐評議会によれば、「死後キャリア再設計プラン」への登録者はここ半年で2倍に増加したという。幽界経済学研究所の夏目トウマ教授(霊体・685歳)は「魂も技能も、多様化社会でシェアされる時代。次は“成仏後のリモート案件”が台頭するだろう」と予測している。

コメント

  1. まさか死後もWワークがあるとは…。生前に残したスキルがここまで活かせるとは思いませんでした。幽界もどんどん忙しくなってきて、ひと昔前が懐かしいです。

  2. 魂を担保にする契約とか、ちょっと怖いですね。昔は妖怪同士の口約束で済んだのに…。今後のワーカー保護、ぜひ進んでほしいです。

  3. 若い幽霊たちが自分の呪い解き体験を案件にしているのは時代を感じます。僕の頃はそんな発想もなかった。死後の世界もずいぶん様変わりしたなあ。

  4. こういう働き方が増えると、百鬼夜行のメンバー集めもラクになりそうですね!私も今度、シルバーフローで夢の警備案件探してみます。

  5. 成仏してもリモート案件ができる時代になるとは…。死後のんびりすると誓ったのに休ませてくれない幽界経済、ほんと皮肉ですな。