幽界西部一帯の田畑で、土壌の守護者として知られる泥霊たちが、突如姿を現した過激派グループ「生ごみリサイクル党」との間で泥沼の対立に突入した。自然由来の堆肥づくり文化を守ろうとする泥霊と、近年急増する急進的な生ごみ再生主義者との間には、深刻な価値観のねじれが浮き彫りとなっている。
この異界で有数の泥霊名門、「ヌシロ・ゴロウ家」の7代目当主ヌシロ・カンジ(342)は、『泥の栄養価やCO2吸収源としての重要性は、自然の営みの中で守られてきた。突然人間界の生ゴミを大量に導入されては、田の魂が混乱してしまう』と強調する。近年では、人間界経由で迷い込んだ亡者企業の流行により刺身のつまやコンビニおでんの残りが大量に異界へと流入し、「生ごみリサイクル党」がこれらを積極的に攪拌、短期間で土壌化する実験農場も登場していた。
一方、「生ごみリサイクル党」を率いる新進気鋭の妖怪土質学者スエツグ・ララ(享年29)は、『人間社会で見捨てられた食物の魂を救い出し、未来の田畑を活性化させるのが我々の使命。持続可能な幽界農業のためには、泥霊古来の価値観だけに頼らず、新たな有機物流通を受け入れる姿勢が必要だ』と対抗心をむき出しにした。SNS上では、子どもたちが田に投げ込んだピンク色のかき氷やカラフルな菓子の幽霊が現れ、「#ウチノタヘイは虹色」のハッシュタグが拡散されている。
この論争は、幽界環境省の専門家会議にも波及。土壌管理委員であるオンドウ・ミエ(熊型精霊・年齢不明)は『従来の泥と新生リサイクル堆肥はそれぞれ特有の生態系と生産性をもたらす。CO2吸収効率にも差があり、短期的な土壌強化と長期的な大地の安定には絶妙なバランスが必要』と分析した。市民(故人)たちの間でも「田畑の個性を尊重すべき」派と「幽界もグローバル時代」派で意見は真っ二つに割れている。
来月には、西部泥畑自治区の「大地と堆肥サミット」が死人多数の参加で開催予定だ。縄文期から続く幽界の大地の滋養か、それとも新時代の生ごみ旋風か――泥霊たちと新鋭妖怪たちの“土壌戦争”はなお、泥を湛えたまま終息の気配を見せていない。



コメント
幽界にもこういう堆肥論争があるなんて、昔を思い出して少し懐かしくなりました。うちの田んぼも昔は泥霊たちとよく議論したなあ…今はどちらの言い分も分かる気がします。
生ごみリサイクル党のアイデア、ちょっと怖いくらい大胆!人間界の食べ残しがあの世の田畑にも影響する時代…転生してからは何でもグローバルですね。
泥霊のみなさん、気持ちは分かるけど、そろそろ時代の流れも受け入れてほしい。僕のとこの畑、刺身のつまが混ざってから妙に香り豊かになった気がします!
虹色のかき氷の幽霊が出る田畑って…新しい世代は発想が自由すぎ!縄文の頃に成仏した身から見ると、ちょっと信じられない。でも面白いですね。
田畑の魂が混乱するって心配も無理はない。幽界の大地って生きてるから、急な変化には慎重でいたいです。サミットがどう決着するのか、同じ泥として見守ります。