死後の世界に広がる『月影うさぎ庵』では昨夜、店の中心スタッフであるアルバイト骸骨たちが突然ストライキを決行し、市内にある多頭飼育崩壊現場への派遣を一斉に中止した。繁忙期を迎えた異界のペット業界では、かつて例のない混乱が生じている。
発端となったのは、新設された冥府保護動物緊急対応法により、過密飼育が判明した『幽谷うさぎ苑』への“緊急救助バイト派遣”命令だった。同苑で育てられているあの世特有の紫煙ウサギ計312体は、檻の管理不全と夜鳴きによる住環境悪化が深刻化。市の動物保護局が即応措置を施行する中、各うさぎ専門店のアルバイト――すなわち日雇い骸骨(エクト・バイター)たちが現場に向かわされている。
今回ストライキを主導したのは『月影うさぎ庵』の長期バイト、骨笛カルシオ(130・元死神見習い)。彼は取材に対し、「私たちは適正な労働環境と睡眠(骨休め)が保障されていない中、312体のうさぎを相手に無休で働けと言われた。ペットフードの夜間補充や進化系両生類のケージ掃除まで任され、とても現実的ではない」と語る。
一方、経営責任者の魂灯オーナーは窮状を訴える。「あの世ペットブームで繁殖数が跳ね上がり、保護区域の整備も遅れがち。だが“うさぎアルバイトたち”は旧時代から店の要で、ストライキは全店に深刻な影響をもたらしかねない」。店舗館内ではうさぎ用マシュマロ枕の品切れや、鳥類の環境エンリッチメント担当が代役不在となり、古狸ゴースト一匹が深夜2時に臨時で走り回る騒ぎも起きた。
SNS上にも混乱の波紋が広がる。異界ペット愛好家『うさゴールド』は「骸骨スタッフも命(魂)は一つ。多頭飼育問題は社会全体で考えるべき」と投稿。学究精霊・夢乃霊子(動物行動学博士)は「死後の世界にも、ヒト・動物・精霊と多様な労働・飼育環境が必要。ペットと関わる全ての存在への安全法強化と、保護区域拡充の議論が不可欠」と述べる。
業界内では既に対策協議が始まり、骸骨スタッフの休骨日(休暇)導入や雇用契約の見直し案が検討されている。冥府のうさぎ専門店と多頭飼育現場の“仲介役”として、人魂型派遣エージェンシーによる新しい労働マッチングモデルも期待されている。今後、あの世の動物たちと働く異界市民の共生をどう実現するか、多くの目が注がれている。



コメント
自分もあの世ペット業界で働いてたから分かるけど、312体の紫煙ウサギを無休で世話するなんて、いくら骸骨でも骨が折れる話だよ。ストライキ、今回は応援したい。
むかし成仏前に月影うさぎ庵に通ってた身としては、こんな混乱ちょっと懐かしい。だけど今は労働環境も変わってきたから、骨休めぐらい与えて欲しいな。頑張れエクト・バイター!
ペットブームの裏でこんな多頭飼育崩壊があるのは残念。管理する側も守られないと、結局ウサギたちも不幸…。異界の常識も見直さんとアカン時代に来てるね。
やっぱりストライキなんて珍しい!骸骨バイトさんたち、本音はずっと我慢してたんだろうな。みんな心(魂)を持った存在なんだから、もっと優しくしてあげてほしいです。
いつも骨休みナシで走り回る姿はあの世の“青春”って感じだったけど、こんな揉めごとも時代の流れなんだね。ところで走らされた古狸ゴースト氏、お疲れさまでした。