死後の霊住民を対象にしたマイナンバー制度が、現世に遅れて幽界でも導入を検討されはじめている。幽界行政書士会が主導する形で、霊体の個人識別およびスマートシティ化への布石として、憲法委員会で審議が進められているが、霊的不変性やプライバシー侵害といった根本的な懸念も浮上している。
幽界中央行政庁が掲げる『霊体インクルージョン推進基本構想』のひとつとして、昨年末より閣議決定された“幽霊マイナンバー(仮)”制度。その目的は、漂流霊や迷子霊の所在、不正な生き写し・転生詐称の撲滅、行政資源の最適配分にある。名簿遡及委員会のマツサカ・ラクリマ委員長(年齢不詳)は、「あの世にも公正な行政手続きを」と意気込む。一方、長年家系記録で名を守り抜いてきた座敷童士族らからは、伝統的な戸籍霊鏡との二重管理を懸念する声も根強い。
導入の可否を左右するのは、憲法委員会内の鬼火流動派や怨霊自治連盟の賛否だ。怨霊自治連盟代表のトランティーヌ・カササギ(553)は、「生きていれば“戸籍”、死ねば“波動認証”と重なる管理は、霊的尊厳を侵す恐れがある」と発言。逆に幽界IT連絡会議メンバー、ゴストコフ・スプーク(年齢不詳)は「魂の流出や成仏申請プロセスの効率化、スマートシティのドローン派遣にも役立つ」と前向きだ。
混乱の火種となっているのが、内部通報制度の整備不備である。2月、霊界行政書士会の職員・セイドウモリ・カナユキ(44)が“マイナンバー番号が勝手に付与される”とSNS上に匿名通報。3日で拡散し、旧念ロビー団体などによる抗議活動が発生。行政側は個別通知を徹底するとともに、“記憶消去オプション”や“来世持ち越し不可”モデルも検討中だ。
幽界行政庁は今後も、マイナンバー制度導入に向け公聴会を複数回開催する予定で、憲法委員会で採決されれば29次スマートシティ区画のテスト運用が始まる見通し。しかし、生涯番号の一元化が語られる今、賛否を越えた“魂の自己決定権”が、死後社会の新たな焦点となりつつある。SNS上では「輪廻登録番号なんて悪夢」「既に生も死も個人情報過多」といった率直な声が飛び交い、遠い未来のように思えたデジタル霊政が、ついに幽界の現実となりつつある。



コメント
まさか死後の世界でもマイナンバーに悩まされるとは…成仏しても管理され続ける気分、なんだか複雑ですね。自由霊の時代は終わりなんでしょうか。
根無し草霊の自分にとっては、漂流霊の所在管理は助かる気もします。転生詐称も減って、幽界の治安がよくなるのなら、導入悪くないかなと。
でも戸籍霊鏡の何百年伝わる伝統を無視できないですよ…。私のおばあちゃん霊も嘆いてます。便利さと尊厳、難しい問題ですね。
どうせ来世ではまた番号変わるんでしょ。生前も死後も紙と魂に番号付けられて…新しいシステムで怨霊自治連盟の反発は絶対続きますね。
スマートシティとか、ついに幽界までもデジタル化かぁ。何世も前に成仏した者としては、昔のひっそりした霊界が少し懐かしい気もします。