冥界最大手のWeb小説投稿サイト『ノクターナル・リブレリウム』で、先週公開された幽霊作家・夜宮零士(34)のデビュー作『鏡の向こうはまだ夢』が未曽有の波紋を広げている。作品公開直後、プロローグが謎の消失を遂げ、編集機能の“いたずら”問題にまで発展。背後にはサイトの編集部を牛耳る新任編集者・天狗の烏丸風太郎(推定812歳)の“采配”があったことが判明し、ファンや作家陣から怒りと混乱が渦巻いている。
夜宮の『鏡の向こうはまだ夢』は、生き霊と死霊が交錯する日常を描くファンタジー。公開時から旧霊界SNS『ムズカシ魂会』では「透明な日常の儚さが美しい」(死後32年・読者)、「プロローグの謎文、『脱魂』の叙述トリックに震えた!」(年齢不詳・小説妖怪)など絶賛コメントが溢れ、瞬く間にランキング1位を記録した。しかし、読者の歓声も束の間。掲載からわずか1時間後、サイト上からプロローグが突如消失。代わりに“編集者による調整中”の文字列のみが表示され、多数の読者が「また幽霊の仕業か?」「いやサイトがアチラ側に引きずり込まれた?」とざわついた。
後の運営発表によれば、消失の原因は、新たに就任した編集者・烏丸風太郎(通称・天狗の烏丸)による“過剰編集”とのこと。同氏は伝説の創作家として名を馳せてきた一方、最近編集デビューしたばかり。小説編集の近代システムにうとく、全プロローグ部分を「冗長」と判断し、見事な“天狗鼻”で全文を削除したうえ、作者にも通知を忘れていたという。夜宮本人は取材に答え「プロローグに心臓(ハート)を込めたのに…。天狗の一振りで跡形もなくなってしまいました」と心霊的ショックを隠せない様子だった。
事態は新規実装された“コメント先読み編集機能”にも飛び火した。本機能は、読者がコメントを残す前に予知的に“想定不適切コメント”を察知し、天狗編集者による自動修正が加わる画期的なもの。だが、烏丸のフィルタリングアルゴリズムが“魂”“現世”“成仏”など極めて一般的な単語も“不適切”と誤判定。数百件の読者感想が、直後に「ピヨピヨ」や「パタパタ」など意味不明な単語に置き換わり、ユーザーから「現世へのメッセージが天狗語に!」「全員鳥になってしまった」と不満が噴出した。
これを受けて、『ノクターナル・リブレリウム』運営側は「異界独自の編集文化を尊重しつつも、読者と作者の交流を守るため管理体制を見直す」と表明。専門家である幽界文学評論家・朝霧珠江(211)は「生前世界と死後世界での編集観のギャップが浮き彫りになった。今後は両者が歩み寄れる新たな編集のカタチが求められる」とコメントしている。
作品のプロローグは既に復旧作業が進行中。読者の間では「幽霊作家と天狗編集者のタッグでファンタジーの新時代が到来するか?」と期待の声も上がっている。今回の一件が異界Web小説界の“進化”となるのか、今後の動向から目が離せない。



コメント
せっかくプロローグに込めた霊気が天狗の一振りで吹っ飛ぶとは…。死後だって波乱続きで笑ってしまいました。夜宮先生、気にせず次も頑張ってほしいです!
“魂”も“現世”も不適切扱いになる天狗フィルター、転生組にはキツいですね〜。羽ばたくコメント欄も悪くないですが、やっぱり素直な幽界の感想が読みたいなあ。
こういう編集騒動、千年くらい前の冥界文学サロンでもあった気がして懐かしい…。でも今はもう少し進化したいものですね。夜宮さんのプロローグ、無事帰ってきますように。
現世感覚じゃ考えられない大事件だけど、私たちにとっては“あるある”ですよね。編集者も作家も幽霊も妖怪も、異界の進化を見守りたいです。
新時代の編集システムもいいけど、やっぱり天狗の鼻は信用なりませんな!夜宮先生×烏丸さんのタッグ、ちょっと皮肉だけど妙に期待してます。