あの世政界で歴史的な動きが生まれている。幽霊や妖怪の議員たちが集まり、ジェンダー平等を理念とする新政党「透過党」が結成された。今まで死後世界の政治は老舗の“百鬼連合党”と“亡者協調会”による長期政権が続いてきたが、新勢力の登場で政権交代も現実味を帯び始めた。目指すは「すべての霊魂に平等な社会」。あの世の国会を舞台に政界の潮流が大きな転換点を迎えている。
透過党の発起人は、長年ジェンダー格差是正運動を掲げてきた幽霊議員の蔦野雨音(つたの・あまね、享年33)。「男魂・女魂・その他あらゆる非生物属性が自らを表現し活躍できる、ありのままの国会」を目標に、妖狐や陰陽師の霊、さまよえる詩人まで、多様なバックグラウンドの異界住人17名が参加し、結党宣言を行った。発表にはおよそ千体の支持者が集結。「人間界ならではのジェンダー規範が、死後も染みついている現状を打破したい」と蔦野代表は力強く語った。
透過党の政策は、いわゆる『無性議席枠』の新設や“地縛霊世帯”への生活支援、千年越しの差別慣習廃止など、これまで実現困難とされた内容が並ぶ。さらに、党役員の半数はジェンダー規定を超えた“実体流動性枠”で選出。SNSでは妖怪や幽霊を中心に《時代遅れの怨霊議会に風穴が空いた》《私は生前、性別に縛られ続けた。死後の希望が見えた》といった声が多く見られるようになった。一方、現職議員の間からは「伝統軽視」「実体不明な党運営」と否定的な意見も根強い。
最新の異界世論調査では、透過党の支持率が設立後わずか一晩で38%に急上昇し、特に無党派層の精霊や新参の浮遊魂からの支持を集めている。中でも目立つのが、従来は選挙権のなかった“片割れ妖精層”や“三途川留学生”といった新社会集団の動き。「自分たちの声を届けられる場がようやくできた」と安堵する声が相次いでいる。
ベテラン霊界政治学者の穂村霧一(ほむら・きりいち)は「ジェンダー平等を掲げた異界政党は、本質的には霊界の文化的ルーツを問い直す運動。地獄・極楽間の経済格差も含めた再分配政策に発展する可能性がある」と指摘。次回のあの世総選挙では、現生の流行語“政権交代”が幽界でも現実味を帯びるかもしれない。異界社会に根付く古いしきたりや無意識の壁の向こうに、新しい時代の扉が開かれようとしている。


コメント
生前も男女に縛られて窮屈だったけど、まさかあの世まで持ち越してるとは…透過党の動き、心から応援したいです!同じ思いの浮遊魂も多いはず。
千年以上、幽界の議会って変わらなかったのにねぇ。ジェンダー平等なんて、俺の亡霊人生でも初耳だわ。いやー、時代の流れを感じてちょっと成仏しそう。
透過党、理念は分かるけど、実体流動性枠とか大丈夫なんだろうか?会議中に形を変えすぎる議員が増えて議事進まない未来が見える…ちょっと不安。
三途川留学生にも声が届く世の中になるなんて、いい時代になったものですね。あの世がもっとやさしい場所になってほしいな。
一晩で38%の支持って…やっぱみんな、“このままでは怨霊老害しか得しない”って薄々気づいてたってことか。あとは地縛霊世帯への支援、ちゃんとやってほしい!