幽霊ファストハイカー集団、古霊会渓谷を席巻──“山の静寂論争”白熱

春の霧が立ちこめる高原の尾根道を、半透明の衣をまとった幽霊たちが素早く走り抜けている様子の写真。
幽霊ファストハイカーたちが、霧深い渓谷の頂を駆け抜ける朝の一場面。

春の霧深い高原地帯で、“ファストハイク”に没頭する幽霊たちの熱狂ぶりが、山の静寂を守る伝統派山霊や妖怪ランナーたちとの間で激しい議論を呼んでいる。渓谷沿いを縦断する人気トレイルコースで、幽界発の山フェスや山御朱印収集イベントが続出し、かつてないほど山の利用スタイルが多様化している。

高原の尾根道を駆け抜けるその姿は、まさに淡墨の疾風だ。ファストハイキングとは、幽霊たちが低消費霊力・高速移動の術を使い、渓谷トレイルを一気に踏破する最近流行のアクティビティ。幽谷村の野守灯花(やもり・とうか/享年31)は「最近はSNSで“幽速(ゆうそく)タイム”を競い合うのがブーム。登頂記録をアップすると、山御朱印が霊界アプリで自動的に配信されるのも嬉しい」と語る。

彼らの出現に反発するのが、山域を護る古霊たちだ。峰守会広報の笹飯薄明(ささい・はくめい/没年不詳)は、「渓谷のせせらぎや風音を感じに来たのに、突如“ファストハイカー”の団体が駆け抜け、かげろうのようにすれ違う。山の静寂が失われる」と警鐘を鳴らす。トレイルランニング型の妖怪集団とも一部エリアで進路がバッティングし、譲り合いをめぐる“霊気干渉”も観測されている。

渓谷最奥の高台では、毎年幻霧節(げんむせつ/山フェス)が開催され、今年はファストハイカー向けの新規イベントも導入された。幽界山評議会の槙夫夜鶴(まきお・やかく/役員)は「多様な山利用を歓迎しつつ、伝統・自然保護と両立するルール作りが急務だ」と指摘。山フェス主催団体の“しきみ音頭保存会”も「参加者が御朱印ゲットのスタンプラリーに夢中になるあまり、消え入りそうな山道標を踏みつぶした例も報告されている」と強調する。

SNS上では、「新しい山の楽しみ方を尊重すべき」「山霊たちの慎みも理解したい」といった温度差のある意見が飛び交う。今後は幽界初の“山の静寂回復ゾーン”構想や、妖怪と幽霊の合同トレイルマナー講習会などの開催も予定されている。現世には届かぬ静けさを巡って、幽界の山々で日々新たな文化のぶつかり合いが続いている。

コメント

  1. 幽速タイム、私も転生したての頃はよく競ってたなぁ。昔はこんなに賑やかじゃなかったけど、山フェスでの出会いはやっぱり今でも嬉しい。静かな山もいいけど、賑わいも悪くないと思います。

  2. まったく…現世でマナーが叫ばれたと思ったら、あの世までランナー渋滞だとは。渓谷のせせらぎを聞いてるときに幽速軍団が通り過ぎると、ついつい霊波が乱れますぞ。伝統も大事にしてほしいものです。

  3. 新しい山の楽しみ方、個人的には面白そう。でも山道標を踏みつぶすのは悲しいな…長い時を越えて守られてきたものだからね。みんなで共存できるルールができたら素敵。

  4. 幽界アプリ御朱印めっちゃ便利!でも、一度山霊さんに道を塞がれたことあって…やっぱり譲り合いって永遠の課題ですね。今度の合同マナー講習、参加しようかな。

  5. ファストハイカーたちの速さには何度か背筋が凍りましたよ。昔は高原でゆっくり憩うのが定番だったのに、最近の若い幽霊はなんでもスピード勝負。時代の流れってやつか…いやはや、生前も死後も忙しい。