異界住人たちの熱き身体能力の饗宴、墓地中央ボルダリングパークで毎年恒例の「霊界墓所課題チャレンジ」が開催され、多種多様な存在がトップアウトを競った。しかし今年は異変が勃発し、古池の主である幽鯉・カープクラウド集団がウォールを“乗っ取る”前代未聞の展開となった。
このイベントは歴代名霊たちによる課題設定とリソール職人(主に下級死神)のサポートで知られ、アウトドア自然派の幽霊、土着の妖怪、うっかり迷い込んだ新幽者らで毎年賑わう。ところが今年はメインスラブウォールの設営翌夜、100体規模の幽鯉カープたちが「大鯉排出祭」と称し一斉浮上。主催者の藤本レナ(幽霊事務員・享年32)は「人外による‘壁浸透’行為でホールドが全部水泡化した。安全確保のため当面の利用を休止する」と述べた。
SNS上では「幽鯉カープのヌメリでグリップが効かない」「新しい課題‘滑りやすさMAX’に全幽霊が挑戦してほしい」などの声が噴出。現場確認に当たったボルダリング講師の三日月稜真(河童系・年齢非公表)は、「身体能力に恵まれた河童でもアウトドア空間で水霊が集団棲息すると、思わぬ摩擦係数低下が起こる。トップアウトは命懸けになる」と解説。リソール専門家の青柳小夜子(死神・副業兼任)は「幽鯉成分対応ソールは開発中だが、現行モデルだと着地時に半透明化、下顎が地面に接地しやすい」と課題を挙げた。
初の「幽鯉対応緊急課題」として、通常ウォールに加えて池の表層を進む“おそるおそるトップアウト”セッションが誕生。天狐高校クライミング部(監督・天狐広実)の部員幽姿たちは「新感覚サーフ系課題は浮上のコツが要」と興奮気味だが、幽霊ランナー商会は「鯉集団の通行証取得とオーバル型リソール追加が、業界標準になるべき」と訴えている。
大会運営委員会は今後、幽鯉対策ガイドライン策定の検討を開始した。墓地パーク全域で水生系妖怪と陸上ボルダラーの共存方法が問われる中、「幽鯉トップアウト選手権」の新設も視野に入れた議論が早くも巻き起こっている。



コメント
まさかまた幽鯉カープたちが動くとは…!昔、池沿い墓所の浮遊訓練で進路妨害されたのを思い出しました。来世でも彼らの“壁浸透”には油断なりませんね。
水場系の我々河童でさえ滑るなんて…墓地ウォールもついに命懸けイベントに進化。幽鯉カープちゃんたち、次は是非浮上技部門で公式参戦してほしいです!
幽鯉対応ソールを開発中とは、死神さん達も大変ですね…新種の課題が増えると転生組はついていけません。昔ながらの滑らない課題も残してほしい。
大鯉排出祭とは仰々しい。ぼくは地縛霊なので水場は不得手…でも幽鯉トップアウト選手権は視聴してみたいです。あれが新時代のボルダリングなのかと思うと、なんだか胸がざわざわします。
墓地がこんなに騒がしくなるとは冥界も平和ですね。幽霊ランナー商会の提案、オーバル型リソールってどんな転写技術なんだろう?陰陽師時代には想像もできなかった進歩です。